日本維新の会所属の衆議院議員、守島正氏(大阪2区)、斉木武志氏(比例北信越)、阿部弘樹(比例九州)の3人が9月8日に記者会見し、「離党届を提出した」と明らかにした。今後は3人で会派を組み、国会で活動するという。
一方、維新の代表である吉村洋文大阪府知事は記者会見で「筋が通らない反党行為。維新に投票してくれた有権者に対する信頼を裏切る行為にもなるし、筋を通すとするならば議員辞職」と憤った。参院選の敗北を受けて執行部を刷新した維新だが、党勢回復への道のりは厳しそうだ。
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維新は、7月の参院選で改選数以上の議席を確保したが、結果的には事実上の惨敗。比例票は前回から大きく減らした。責任をとって前原誠司共同代表が辞任、藤田文武元幹事長が党内での選挙を経て国会議員団代表に選ばれた。守島、斉木、阿部の3氏は藤田体制への不満に加え、噂される連立入りへの動きに疑問を持ち離党の決断をしたという。
「参議院選挙でボロ負けしたも同然の維新。いずれこうなるとは思っていたが、想像以上に早かった」と維新の国会議員A氏は肩を落とす。
記者会見で斉木氏が語ったように、維新は2度も住民投票を実施しながら看板政策の大阪都構想は否決。最近になって「「副首都ビジョン-副首都・大阪に向けた中長期的な取組み方向」という新たな政策を打ち出した。日本を支える戦略的な拠点として大阪を東京に次ぐ「副首都」にし、国会や中央省庁といった首都機能の一部を大阪に移転させて、大規模災害などに対応しようという構想だ。
その旗振り役の一人でもあった守島氏は「私は副首都構想については推進したい」とした上で、離党した理由については「代表になった藤田氏は『維新は保守政党』と言っていた。私は自民党など他党と違い『改革政党』だとの思いでやってきた。(右や左の)イデオロギーに左右されない改革をやると。(しかし、藤田氏の代表就任で)方向性が変わってきた」と述べている。
藤田氏は、自民党にパイプを持つ遠藤敬氏を国対委員長に起用したが、前出のA氏は顔をしかめてこう話す。
「遠藤さんは国対委員長につく前に、党の了解もなく自民党の森山裕幹事長と会食し、それをメディアにリークして報じさせていた。そういう動きは、“連立を組ませてくれ”と自民党に頭を下げているようにとられかねません」
守島氏もその点について「永田町政治を変えるというのが維新。それが遠藤国対委員長となって、永田町の流れについていくという方向性になった。それでは改革政党とはみなしがたい。国会議員として同じ路線では仕事できない」として吉村・藤田体制を鋭く批判した。
総裁選で大騒ぎしている自民党の幹部は、「総裁選は誰が勝つかわからないが、いずれにしても首班指名前に公明党以外に連立相手を探さないといけない。その筆頭が維新。動きからして維新からすり寄っているので、やりやすい」と言う。
維新と自民党の関係を如実に示しているのが、吉村知事と小泉進次郎農水相のツーショットだ。8月21日、小泉農相は万博を視察したが、吉村知事は2時間半にわたって同行。小泉氏が「万博も批判はあったが、この賑わいで評価が変わった」「吉村氏は改革の魂を持った素晴らしい政治家」と絶賛すると、知事も「小泉氏は自民党の改革派。与党、野党関係なく、同じ考えを持つ同士が協力して、日本の政治を進めるべき」と返して、連立入りに含みを持たせるような蜜月ぶりだった。
「藤田共同代表だけではなく、吉村知事までも『連立に入れてくれ』といわんばかりの対応。遠藤国対委員長と森山自民党幹事長の会食も連立入りの布石だろう。離党した3人は、そんな幹部にブチ切れたってことですよ。同じように思っている維新の議員は他にもいます。ずっと改革を掲げて全国で自民党とぶつかってきたが、支持率はアップしない、そこに、参政党が台頭して一気に全国政党になったとたん、これまでの維新の方向性を否定するような動きになってきた。副首都構想は大阪が舞台なので、それ以外の地域の議員はいらない。他は切り捨てられかねない。要は大阪だけ生き残ればいいというのが吉村・藤田体制の本音。離党予備軍は他にもいますよ」(前出のA議員)
維新の「連立入り」に向けた動きは他でも顕著だ。参院選で維新は「食料品消費税2年間0%」を主張したが、党内ではまったく聞かれなくなっている。意図的な方針転換ともとれる。自民党は消費税を10%まであげた「増税政党」。つまり、政策面でも、連立入りに支障をきたすようなものは排除しているということだ。
維新の議員たちは次の離党者を巡る情報交換に余念がないというが、前出のA議員が次のように懸念を示す。
「“○○議員が離党しそうだ、▽▽議員まで飛び出せば、斉木さんらの陣営は5人になって新党結成が視野に入るかもしれない”、などといい加減な話が飛び交っています。藤田さんが勝った共同代表の選挙には、斉木さんも出て7票とった。離党予備軍がいることは明確。藤田さんは『血判状』のようなものをとって、『絶対俺に入れろ』と圧力をかけていた。それでも斉木さんに7票が入ったんです。本当に自民党と連立を組めば、維新は大きく割れると思う」
自民党は10月4日に総裁選を実施する。新総裁が党役員人事を決めれば、首班指名で過半数をとるための連立交渉が始まる。連立の相手として最右翼とされる維新が、どう対応していくのか注目だ。















