永原譲二大任町長、選挙買収業者の有罪確定後に3回もの入札指名を決裁|高まる便宜供与の疑い
永原譲二大任町長が、今年3月に行われた町長選挙で永原派の運動員として公職選挙法違反(買収)に問われ罰金刑となった男性が代表を務める建設会社「ユウセイ」に対し、男性の逮捕後、3回も入札参加の機会を与えていたことが分かった。3回のうち2回は有罪が確定した7月9日以降。県と町がユウセイに指名停止処分を下す8日前に行われた入札では、同社が駆け込み的に約1,200万円(税抜き)の道路工事を受注していたことが分かっている。“談合はなかった”という前提に立てば、町長を当選させるため違法行為に走った男性の会社が、入札に参加した3件の工事を全て受注していた可能性さえある。同社への特別待遇は明らかだ。
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建設会社「ユウセイ」の代表者は、今年3月の大任町長選挙で永原町長派の運動員として複数の有権者を買収、公職選挙法違反(買収)の罪に問われて略式起訴され罰金50万円となった。同町への情報公開請求で、入札参加業者を決定した際の決裁文書を入手して精査したところ、ユウセイの代表者が公選法違反の疑いで逮捕された6月18日以降に3回、有罪が確定した7月9日以降なら2回、工事の入札参加業者として同社を指名していた。


事前の取材で入札参加業者の決裁権は永原町長にあると町の担当者が説明していたため、開示された決裁文書を確認したところ、永原町長の決裁印がどこにもない(*下の画像)。

部分開示決定通知書に「印影については、偽造による犯罪被害防止のため、非公開」と記されていたため町に確認したところ、町長の印影だけを非開示にしたという。しかし、黒塗りではないため、どこを非開示にしたのか不明。役場に出向いて原本開示を求めた。下が、閲覧に供された決裁文書の問題の部分である。

こうした処理は、前掲の「入札指名表」にも施されていた。永原町長の氏名の横をよく見ると、印影の上に貼られた紙の端が、線としてかすかに写っている。町長が決裁に加わっていたことを隠すようなマスキングの手法であり、隠ぺいを疑われてもおかしくあるまい。
町長選で自分の陣営から逮捕者を出した以上、永原氏は事の重大性を承知していたはず。県警が強制捜査に踏み切った段階で、現金買収の疑いをかけられた業者を入札から排除するのは当然の義務だったろう。それを、逮捕後3回、罰金刑確定後で2回も入札に参加させ、1件の工事は落札させていたというのだから呆れた特別待遇だ。町内から、「買収のご褒美」「露骨な便宜供与」といった批判の声が上がっているのは言うまでもない。
永原町長とユウセイの関係を巡っては、町長選前の5ヵ月間に町から6件計1億1,338万円もの工事を受注し、そのうち4件約9,000万円分の受注が告示前の約40日間に集中していたことや(*下の表参照)、昨年8月に同町教育委員会が教育目的でフィリピンのセブ島に中学生を派遣した際、町長がその事業にかこつけ、実弟と実弟の甥にあたるユウセイの代表者を伴って現地に旅行していたことが判明している。「癒着」の度が過ぎれば、犯罪に問われることは言うまでもない。















