自維連立に深まる疑念|ご都合主義「吉村維新」の行く先は?

「有権者がなぜ1票を投票してくれているのかと考えたら、維新の価値観に基づく評価で、自民党ではなく維新に投票してもらっていることを忘れてはならない。僕自身が思うのは維新が与党入りしたら、維新は消滅すると思います」――2024年5月にそう語っていたのは、日本維新の会代表の吉村洋文大阪府知事。「忘れてはならない」と明言したことをすっかり忘れてしまったようで、維新は高市早苗総裁が率いる自民党と連立を組むことが確実となった。

“1丁目1番地”だったはずの副首都構想に実現のめどが立ったのか、議員定数の削減を唐突に持ち出した吉村氏。献金規制に象徴される「政治とカネ」の問題を、議員定数削減にすり替えたということだ。毎度のことながら、維新のご都合主義には開いた口が塞がらない。

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「うちの連立入りはほぼ決まった。閣僚ポストも2つと聞いている」と維新の国会議員が嬉しそうに語る。

自民党との政策協議で11項目をあげている維新だが、同党のある大臣経験者は「連立を組むといってもすべてを丸のみにはできない。どうしてもというなら、自民党と維新でひとつの党になるしかない」と話す。

11項目のうち、吉村知事が「重点項目」としていたのが「副首都構想」を含む統治機構改革と社会保障政策の2点。どちらも今年7月の参議院選挙で維新が訴えてきた内容だ。高市氏は「副首都構想」について、「来年の通常国会で審議したい」と“ご機嫌取り”に懸命だ。

そんな自民党をみている維新が、2つとされる閣僚ポストのうち、1つは副首都構想と密接に関係する総務大臣のポストを要求しているとの情報がある。「入閣候補の一番手は馬場伸幸前代表」という噂さえ流れる状況だ。

藤田武文共同代表が出世できたのは、常に馬場氏の飲み会に参加して世話を焼いていたからだという見立てが、維新内での常識だという。前出の維新議員も、「藤田共同代表は恩返しとばかりに馬場さんを大臣に推薦するようです」と認める。

連立入りが党勢拡大のチャンスとみたのか、吉村知事はコロナ禍の時を彷彿させるようにテレビ出演を繰り返す。確認できるだけで10月16日、17日は東京のキー局で3本ずつ合計6本。その過程で知事は、11項目に加えて議員定数削減の話を訴え始めた。定数削減に自民が合意しなければ、連立はないと息巻く。突然の新条件提示には、党内からも疑問の声が上がるほどだ。

「議員定数削減なんて話はなかったのに、どういうことだろう。1丁目1番地は副首都構想だったはず。さすがに、あれもこれも全部は無理だと思うが……」(前出の維新議員)

別の自民党関係者は冷めた目でこう解説する。

「副首都構想ばかりが強調されると、『しょせん維新は大阪のローカル政党』だといわれる。イメージがよくないし、関西以外の議員や党員たちの気持ちは離れる。そこで、おそらく我が党と水面下で決めていたとみられる議員定数削減を言いはじめた。単純な理由です。吉村知事の人気は、コロナ禍で大阪のテレビに出まくって名前を売り、知名度をアップさせたこと。それを永田町の政局にあてがって、東京でも知名度を上げようとの魂胆でしょう」

支持率低下に歯止めがかからない維新が、自民党の混乱に乗じて上昇気流に乗ろうという考えだろうが、永田町の歴史をみれば、自民党と組んだ政党はことごとく衰退し、党そのものが無くなっている。古くは新自由クラブや自由党、旧社会党もかけらが残っているだけだ。

衆議院における維新の議席は現在35だが、2人が離党もしくは無所属になる意思を示しており、実質的には33だ。そのうち大阪府小選挙区の19など近畿で28議席、それ以外の地域では5議席しかない。

10月16日、維新が連立入りを議論した両院議員総会。連立協議の方向性が打ち出されて質疑に移り、最初に質問したのが福岡11区選出の村上智信衆議院議員だった。「今後の選挙は、自民党と選挙区調整などをやるのか?」

11区で予定される村上氏の対立候補は、自民党の大物で裏金議員の武田良太元総務相。藤田武文共同代表は答えず、遠藤敬国対委員長が「自分たちの大事な仲間であり、切り捨てるようなことはない。選挙になればまた別」と引き取った。

この話を聞いていたという維新の議員は、大阪組中心である執行部の態度に懐疑的な見方を示す。

「藤田さんと遠藤さんは大阪が地盤なんで選挙の心配はまったくと言っていいほどない。まあ『村上ひとりくらい減ってもしょうがない』という口ぶりでしたね。ああいう言い方すると、大阪や近畿ブロック以外からは人がいなくなりますね。これからも離党者がけっこう出るような気がします。大阪ファーストですから(笑い)。やっぱり日本全国を見て政治をやれる政党じゃないのかな……」

一方、大阪自民党の候補予定者も維新との連立は死活問題だ。昨年の総選挙で自民党から立候補し落選したある人物は、「次の衆議院選挙を目指して活動しています。いくら過半数割れと言っても、維新とだけは組んでほしくなったですね。連立を組むと、いつかは選挙区調整の話が出てくる。そうなると自民党は、大阪で誰も候補者を立てることができなくなる。副首都構想を受け入れたら、大阪や近畿だけで維新の人気がさらに伸び、自民党の組織はガタガタになる」とため息をつく。

豹変する維新の先に待ちゆくのは天国か地獄か?

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