高市早苗首相の支持率が高止まり状態だ。報道各社の調査結果はいずれも約7割が高市内閣を「支持する」と回答。一方、自民党の支持率はそれほど上がっておらず、相乗効果を発揮しているとは言えないのが実情だ。台湾有事に関する首相の「失言」も飛び出し、危うさが漂う。
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今月15、16両日に実施された共同通信の世論調査では、高市内閣への支持、不支持について次のような結果だった(カッコ内は10月調査)。
・支持する 69.9(64.4)
・支持しない 16.5(23.2)
次が、テレビ朝日系列ANNの世論調査。
・支持する 67.5(58.7)
・支持しない 15.4(21.8)
ある自民党の大臣経験者がこう話す。
「正直、驚いている。ここまで高い内閣支持率といえば、自民党をぶっ壊すとやった小泉純一郎内閣や旧民主党が政権奪取に成功して誕生した鳩山由紀夫内閣くらい。安倍さんの時だってここまではなかった。まだ、就任して1か月ちょっとだが、驚異的な数字」
しかし、政党支持率を見るとかなり事態が異なる。共同通信の調査結果を下に示す。
・自民党 30.0(31.4)
・立憲民主党 8.3(8.4)
・日本維新の会 7.4(8.3)
・国民民主党 8.8(8.8)
・公明党 3.1(3.8)
・れいわ新選組 3.2(3.1)
・共産党 3.7(3.1)
・参政党 7.3(6.8)
・日本保守党 0.9(2.4)
・社民党 0.6(1.1)
・チームみらい 1.2(1.0)
自民党への支持は1.4%のマイナス。高い政権支持率と矛盾する。ANNの調査では、自民党42%で前月より4.6%アップしているが高市内閣の支持率には遠く及ばない。
こうした中、衆参ともに少数与党という不安定な状態が続く自民党に対し、連立を組んだ日本維新の会は副首都構想を含む「12本の矢」と呼ぶ政策を突き付けた。
しかし、維新の代表で大阪府の吉村洋文知事が「センターピン」という議員定数削減はこの臨時国会で法案提出されるか微妙な状況。「社会保障改革」「政治とカネ、企業団体献金の禁止」など、主要項目についても大きな動きはない。維新の国会議員が不機嫌そうに語る。
「いくら高市総理の人気が高くとも、政策が実現しなければ意味がない。年内で連立離脱という可能性は十分にあります。閣外協力なので、離脱したところで大きな影響もない。自民党は維新が離脱した時の“保険”として、国民民主党に声掛けしているとも言われている」
そうなると、支持率が高い間に解散総選挙との声が高まるのが永田町だ。
「少数与党ということは、落選している元議員が多いということの裏返し。高市さんのもとには『早く解散してくれ』という声がかなり来ているはず。先日、大臣だった落選中の議員と一杯飲んだら『早く解散総選挙やって永田町に戻らないとやってられない。カネが尽きてしまい選挙が戦えない』とぼやいていた」(前出の大臣経験者)
高市首相は「解散を考えている暇がない」と否定的だが、党内では解散総選挙は「早い」という意見が多いという。世論調査の数字を見ても、高市首相の支持率だけが急上昇で、自民党の支持は微増かマイナス。今月16日に投開票された福島市長選では、立憲民主党所属だった馬場雄基元衆院議員が5万8,453票を獲得し、自民党や公明党などが相乗り支援した現職の木幡浩氏を破って初当選を決めている。
また、9日に実施された東京・葛飾区議選では定数40に対して65人が出馬。トップ当選は参政党の候補で、17人を擁立した自民党は10人しか当選できず、前回の12から2議席減らす惨敗だった。連立与党の維新は2人が出馬し当選は1人にとどまった。
葛飾区は衆議院東京17区で、平沢勝栄氏が10回連続当選を果たしている都内でも自民党が強い地域。ある自民党の都議は「葛飾区議選で応援に入った印象だが、高市総理の人気は、石破茂前総理が少し中道系のイメージがあったのに対し、右寄り政権復活だとばかりに、そちら側の人が急激に集まって沸いているような感じがした」と語る。高市人気が、自民支持層の数を大きく底上げするには至っていないということだ。
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高い支持率に気持ちが高ぶっているのか、「失言」は7日の衆議院予算委員会。高市首相は、2024年の自⺠党総裁選で中国による台湾の海上封鎖が発生した場合について、かつて「存立危機事態になるかもしれない」と発言したことを指摘され、改めてどのような場合に存立危機事態になるのかを問われてこう答えた。
「台湾を完全に中国北京政府の支配下に置くようなことのためにどういう手段を使うか。戦艦を使って、そして武力の行使も伴うものなら存立危機事態になりうるケースであると私は考えます」――いわゆる台湾有事は日本有事という見解だ。
一方、台湾を自国の一部とみなしている中国は、高市首相の発言に猛反発。同国の駐大阪総領事はXに、《勝手に突っ込んできたその汚いクビは一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない。覚悟ができているのか》と投稿。中国政府も《中国人を狙った犯罪が多発し、安全リスクが高まっている》として日本への渡航自粛を呼び掛けた。前出の大臣経験者が嘆く。
「台湾有事は日本有事とよく語られる。だが、親台湾の安倍晋三元総理でさえ、それを口にしたのは退任後。高市さんは(総理に)なったばかり。予算委員会で語れば大事になるのは当然のことだが、理解できていなかった。中国が強硬姿勢に出ると経済的には大きな影響が出る。高市さんのもろさがいきなり出た」
高い支持率も“砂上の楼閣”となりかねない高市政権。不安定さは、しばらく払拭できそうにない。















