なぜこのような人が国会議員になれたのか――?大きく右に寄った安倍政治が長く続いたせいで、一般社会では“非常識”の判定を下されるはずのクレージーな考えの持ち主が、税金で養われているのというのだから情けない。
ただの炎上商法なのか、極め付きの愚か者なのか分からないが、自民党の杉田水脈衆議院議員が性被害を訴えた女性を巡って「いくらでも嘘をつける」と発言。これを問題視する報道を受けて発言を否定しながら、分が悪いと見るやブログで言い訳を述べ始めている。
“事件”を機に改めて調べてみると、姑息な杉田氏はカネ集めの方法もえげつないものだった。
■今回だけではない、杉田議員の暴言
杉田氏は意識の根底に性差別が根付いている。そもそも、失言・暴言は今回が初めてではない。このとんでもない自民党議員が、世に知られるようになったのは2018年だった。
*2018年、月刊誌「新潮45」への寄稿文で
同じ年に海外の番組に出演した杉田氏は、元TBS記者の山口敬之氏に伊藤詩織さんが性被害を受けたことについて、次のように言及している。
*2018年、英国BBCの番組の中で
そして今回、自民党の部会で発言した内容が以下の通り。
*2020年9月25日、自民党の部会で
女性でありながら“女性の立場”の視点ではなく、人として信じられない発言を繰り返す杉田議員。その場のがれで“嘘つき発言”を完全否定しておきながら、党の幹部に呼ばれるや否や一転して主張を撤回し、ブログで形だけのお詫びを行っている。
程度の低さが読み取れる酷い言い訳だが、自ら発言したことを「精査」するまで思い出せないような人が、国会議員をやっていること自体間違いだろう。こうしたえげつない姿勢は、彼女のカネ集めにも表れている。
■まるでインチキ商法―「特典」付けて会費集め
杉田氏の関連政治団体は、『自由民主党山口県衆議院比例区第二支部』と資金管理団体『杉田水脈なでしこの会』の二つ。両団体の政治資金収支報告書によれば、自民支部の収入は党本部からの政党交付金となでしこの会からの寄附のみで、主なカネ集めはなでしこの会で行っていることが分かる。
問題はその集め方。政治資金収支をガラス張りにすることは政治家としての責務のはずだが、杉田氏は逆に、政治資金の提供者が収支報告書に記載されないで済む方法を奨励していた。
杉田氏は今年7月、自身のブログに《後援会「杉田水脈なでしこの会」のご入会について》と題し、《このほどこの度、より多くの皆様に気軽にご入会していただけるよう、「杉田水脈なでしこの会」に無料でご入会いただける制度(なでしこ応援団)を新たに設けることになりました》とするお知らせを掲載。支援団体への入会者を募っていた(下がその画像)。
驚いたことに、今年の7月まで、杉田氏の後援会には会費を払わなければ入れなかったということだ。一人でも多くの支持者を集めたいはずの政治家が「カネを払わなければ後援会に入れない」というのだから、恐れ入る。異例というより、異常だろう。
しかも杉田氏は、後援会活動をカネを稼ぐための道具にしている可能性さえある。上記の杉田ブログからリンク先に飛べば、月額会費と『会員様特典』のページが出てくる。それが下の画像である(*赤いアンダーラインと矢印はハンター編集部)。
後援会員を『会員様』と称し、会費の額に応じて特典を与えるところは、インチキ商法の勧誘と同じだ。
新設したという無料会員は別として、正会員は月額1口500円、賛助会員が月額10口以上(5,000円以上)、特別賛助会員ともなれば月額20口以上(10,000円以上)となっており、それぞれのクラスに応じて、メールマガジンの送信、会報誌「Mio’sニュース」の送付、限定シークレットイベントへのご招待などの特典がつく。特別賛助会員様の特典「別途対応」に至っては、何をかいわんやである。
正気とは思えないのは、『後援会会費のため年間5万円を超える会費をお支払いいただいた場合でも、官報などによる公表はありません』の記述。年間5万円を超える政治資金を寄附(献金)した場合には、政治資金収支報告書に寄附者の氏名と住所を明記することになるが、杉田氏は「会費」ならその心配はないと言っているのだ。どの政治家もやっていない、「特典付きで会員を募る」という手法が、まさに「寄附より会費」を奨励している証拠だ。
さらにタチが悪いのは、浄財をいただく側の杉田氏が、会費の支払い方まで指示していることだ。
- 「応援団」会員⇒ 無料
- 「正会員」⇒ 月額500円/1口の6か月分(3,000円~)
- 「賛助会員」⇒ 月額 10口以上の6か月分(30,000円~)
- 「特別賛助会員」⇒ 月額 20口以上の6か月分(60,000円~)
月々わずかなカネを振り込もうという庶民に、半年分まとめて払えという神経は理解不能。どう見てもまともな政治家がやるカネ集めの手法ではあるまい。杉田水脈氏に、国会議員を続ける資格は、ない。