鹿児島県教育界の腐った現状|猥褻教師処分の関連文書開示に「2か月」の非常識

今年9月に鹿児島県指宿市で起きた女性教師暴行事件について、ハンターはその実態と不適切極まりない事件処理の過程を可能な限り記事にし、配信してきた。卑劣な犯行に走った加害者の元教務主任に県教育委員会が下した処分は「停職1カ月」というもの。免職ではないため「教員免許」は剥奪されず、いずれの日にかこの猥褻犯が教壇に戻る可能性を残した格好だ。しかも、自主的な退職となったことで退職金が支払われるため、県民の税金が犯罪者への“追い銭”に使われることになる。

なぜ県教委は、弱い立場の女性を事実上監禁し、性的暴行に及ぶため相手の身体を触ったり、傷を負わせた男を野放しにするような軽い処分で済ませたのか――。加害者の行為を「猥褻行為ではなくセクハラ」と強弁した県教委の判断過程を確認するため関連文書の開示請求を求めたところ、案の定、時間稼ぎに走り、隠蔽体質を露呈させた。

■開示が引き延ばされた猥褻教師の処分過程

ハンターが今月7日付けで県教委に開示を求めていたのは、女性教師暴行事件で小学校から県教委に提出された文書や、関係者への事情聴取及び県教委が処分を決めた際の協議の言録など7項目。これに対し、県教委が送りつけてきたのが下に示した問題の「開示決定等期間延長通知書」である。

県情報公開条例が定めた開示決定までの期間は15日間だが、県教委はこれを50日近く延ばすのだという。だが、ハンターが請求した文書は既に他からの開示請求で公開されているものや、県議会質問で問題にされた事案に係るものばかり。

いまさら「審議」を要する性格のものではない。もちろん、開示請求から2カ月をかけるほどの文書の量があるとは思えず、狙いが時間稼ぎであることは明らかだ。時間をかけてのらりくらりやっているうち、事件そのものが忘れられていくと考えているのだろう。

■現場の教員からも県教委への批判

県教委の思惑とは裏腹に、指宿の事件を想起させる事案は後を絶ちそうにない。今月、酒に酔って知人女性2人に性的な内容のメールや電話などのセクハラ行為をしていたとして、男性教師が減給(10分の1)1カ月の懲戒処分に――。連続する不祥事に慌てた県教委は、21日には教職員課長名で県立高校などに「ハラスメントに関する緊急指導について(通知)」と題する文書を発出していた。対策強化を図ったつもりだろううが、格好だけつけても根太が腐っているから効果はあるまい。

県教委の動きに冷たいに視線を向けているのは、一般の県民だけではない。酒に酔ったセクハラ教師への「減給1カ月」と指宿の猥褻犯のケースで下した「停職1カ月」を比較して、「おかしい」「裏に何かある」と感じている現場教師の声が多数寄せられているのだ。その中で、鹿児島市内の中学校で教鞭をとる教師の意見は、次のようなものだった。

報道によれば、男性中学生教諭がセクハラメールと電話で、減給1か月(10分の1)の懲戒処分を受けた。それと比べても、暴行事件を起こした指宿の男性小学校教諭の事案の「停職1か月」は極めて軽く感じられた。いずれも女性を傷つけた憎むべき行為だが、直接の暴行と、電話・メールでのセクハラ行為がほぼ同列とはどういうことか。

過去にも同様の事案(同僚教師との不倫)のあった男性教諭を野放しにしたうえ、教務主任に任じる上司(校長)の愚かしさ、異常性には驚く。監督する側の姿勢としてはあまりに不用意であり、何か他の力が働いているのではないかと疑いたくなる。

いじめも性的な事案も、まずは被害者の立場に立つのが常道。にもかかわらずに当該校の校長が、被害女性ではなく加害男性を庇うなど言語道断だ。自身の監督責任を不問にすることを狙った矮小化の算段など、教育者にあるまじき行為であり、許しがたい。

県教委は何かあると、研修をすることで、事を終わらせようとしてきた(今後もそうだろうが)。しかし、一番問題なのは、そのような問題のあった教員を軽い処分で野放しにし、その上、事が起きても庇ってきた県教委の体質ではないのか。

自己都合で組織防衛だけに走る県教委の現在の在り方は、三反園県政下で歪んだ鹿児島県庁の行政と同じく、腐敗しているとしか言いようがない。

別の小学校関係者からは、驚くべき情報がもたらされた。念のため事実関係を確認し、書かれていることに間違いがなかったので、原文のままを紹介しておきたい。

指宿で事件を起こした元の教務主任の身内には、元校長がいます。その元校長は県教組の幹部でした。だからなのか、今回の事件で被害者の立場でモノをいわなければならない教組は、だんまりを決め込んでいます。指宿市長も元校長。市の教育長は、市長の友人の身内です。じつは、この事件でうろたえている人たちは、皆さんつながっているのです。そうした背景があるからこそ、実は何度も男女関係で問題を起こした加害男性が、教務主任になれたのではないでしょうか。さらにいえば、よからぬ人脈が動いたからこそ、卑劣な犯行をおこなった男性の元教師の処分が「停職1か月」などという軽いものになり、教員免許と退職金を保証する結果となったのだと思います。

鹿児島県教育界の腐敗度は、かなり深刻といえそうだ。

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