県議会議長を含む複数の自民党県議が、新型コロナウイルスに感染していたことが判明した。取材したところ、感染が確認されたのは同じゴルフコンペに参加したメンバー。ゴルフに興じたあと飲食を共にしており、その過程でコロナに感染したものとみられている。
全国でコロナウイルスが拡散し、首都圏における緊急事態宣言が再発出される中での政治家の感染。公人としての自覚のを欠いた行動に、批判の声が上がりそうだ。
■ゴルフ後に中洲で飲食
氏名が分かっているのが、吉松源昭議長(53:糟屋郡区選出)、樋口明元議長(50:福岡市南区選出)、吉田健一朗県議(48古賀市選出)の3名。先月28日に福岡のゴルフ場運営会社が主催するゴルフコンペに参加した後、九州一の歓楽街である中洲の和食店で飲食していたことが分かった。参加した自民党県議は4名だが、出稿時点で感染が確認されているのは前述の3名だった。(下は、福岡県の感染状況発表資料より)
どこで感染するのか分からない状況であることは確かだが、県会議員が地域社会の指導的立場にある以上、「対応が甘かった」で済む話ではあるまい。この場合、問題は二つある。
まず、御用納めの年末28日に、県議会議長や元議長という責任ある立場の政治家がゴルフを楽しみ、飲食まで行ったという非常識な態度。多くの県民がコロナ禍に苦しみ、飲食店や中小企業の閉店・倒産が続出している中、税金から報酬を得ている議員が、セレブ生活を楽しんでいたというのだから開いた口が塞がらない。特に吉松氏は「議長」。先頭に立って県民の暮らしや安心・安全を守るべき身がゴルフと飲食でコロナ感染では、職責を果たせるはずがない。
■ゴルフコンペに55組・200人以上が参加
次に、ゴルフコンペを主催したゴルフ場運営会社の姿勢だ。当該企業に取材して確認したところ、「いつもやっている恒例のコンペですが」(主催企業)という認識。当日コンペに参加したのは55組で200人以上の客を集めたとしており、こちらも常識を疑いたくなった。現状としっかり向き合った上で、「ゴルフ場は密にならない」などという言い訳など通用しないことを理解すべきだろう。
■深まる政治と国民の間の溝
新型コロナの脅威がこの国を襲って以来、政治家と国民の間に埋めがたい溝があるように思えてならない。いったんは収まるかに見えた感染拡大だったが、第3波は想像以上の大きさ。いずれの地域でも感染者が過去最大を更新し続けており、止まるところを知らぬ勢いだ。
そうした中、批判の的になっているのが政治家の会食。政府が「GoToトラベル」の全国一斉停止を発表した12月14日には、菅義偉首相が自民党の二階俊博幹事長らと会食していたことが問題視され、菅氏が謝罪する事態に――。その後も、徳島県や石川県の知事、県議などが大人数の会食をしていたことが明らかになるなど、為政者の暴走が続いている。
国民に大人数での会食を控えるように呼び掛けている首長や議員さんたちが、平気でルールを破る現状はどうみても不適切。感染拡大を止めるどころかウイルスを撒き散らすようなマネをしている政治家たちに、税金で飯を食う資格などあるまい。問われているのは、公人としての資質である。