この町の行政は狂っていると言うしかない。
ハンターの情報公開請求を受けた福岡県田川郡大任町(永原譲二町長)が、法律の規定で公表が義務付けられている建設工事の「施工体系図」を非開示にする決定をし、町発注工事の施工業者を隠蔽する姿勢を露わにした。
■町長独裁の無法地帯
町発注工事の入札結果を非公表にするなど、違法な行政運営を続けている大任町が、常軌を逸した「非開示決定」を行った。
数十億、数百億といった巨額な公共事業を続けざまに発注してきた大任町に対し、ハンターが開示請求したのは平成29年度から本年度までに大任町が発注した工事の「施工体系台帳」と「施工体系図」。いずれも、建設工事の適正な施工を確保するため、元請け業者に対し国が「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」(入札契約適正化法)で提出や掲示を義務付けた文書だ。
施工体系台帳は、下請け業者の商号又は名称、下請業者が受け持つ工事の内容と工期といった所定の事項を記載したもの。公共工事を受注した元請が、発注者の自治体に提出しなければならない。
一方、施工体系図は建設工事における下請け業者の施工分担関係を表示したもので、元請け業者は、工事現場の周囲の工事関係者が見やすい場所及び一般市民(納税者)が見やすい場所に掲示する義務がある。
入札契約適正化法が施工体系台帳の提出や施工体系図の掲示を義務付けているのは『建設工事の適正な施工を確保するため』。“公表”が前提であることは言うまでもない。特に施工体系図は工事現場に掲示されていることから、情報公開で非開示にする必要はない。
しかし大任町は、施工体系台帳も施工体系図も非開示(*下が非開示決定書。画像クリックで拡大)。その理由は、これまで公文書の隠蔽に走るたびにこじつけてきた《公にすると、人の生命、健康、生活、財産または社会的な地位の保護、犯罪の予防、犯罪の捜査その他公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある》というものだった。町の関係者によれば、開示・非開示の判断を下しているのは永原譲二町長本人。大任町は、国の法律より町長の指示の方が優先される、無法地帯ということだ。
町長の個人的な理由で情報公開の方針を決めているせいか、一連の「非開示」に整合性がない。
ハンターが7月に「大任町ゴミ処理施設整備工事」(契約金額220億円)と「汚泥再生処理センター整備工事」(契約金額89億8,560万円)の関連文書を開示請求した際にも、「施工体系図」は非開示。しかし、この時の非開示理由は前出の《公にすると、人の生命、健康、生活、財産または社会的な地位の保護、犯罪の予防、犯罪の捜査その他公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある》ではなく、ごみ処理施設の工事については「着工前で体系図を受け取っていない」(町総務企画財政課)、すでに終了した汚泥再生処理センターの工事では「体系図を受け取っていなかった」(同)というお粗末なものだった。
つまり「不存在」ということなのだが、約5年半分の施工体系図を請求した今回の開示請求では、当然入っているはずのゴミ処理施設と汚泥再生処理センターの分について、存否の説明を完全スルーしている。
ではなぜ、永原町政は頑なに公共工事の施工業者を隠すのか――。その答えを示す前に、同町が隠蔽に走っている別の文書があることを報じておかねばならい。以下、次週の配信記事で。