自民党・宮路総務大臣政務官の政治団体に政治資金規正法違反の疑い|企業の「社内」に事務所

総務大臣政務官を務める宮路拓馬自民党衆議院議員(九州比例)の政治団体が、東京都内にある企業の本社内に事務所を置きながら、家賃にあたる“事務所費”を支払っていないことが分かった。

支払われていない事務所の家賃分は企業側からの寄附にあたることから、企業・団体が政党及び政党の資金団体以外の者に対し寄附することを禁じた政治資金規正法の規定に抵触する可能性が高い。

■“鶏卵マネー”の団体に疑惑再浮上

不適切な事務所経費の扱いが明らかとなったのは、令和元年6月に設立された宮路氏の支援団体「新政策研究会」。宮路議員の実父で元衆院議員の和明氏が代表を務める同団体が東京都選挙管理委員会に届け出た事務所の住所は、都内千代田区飯田橋に本社を置く印刷物の版下製作会社の“社内”(下の写真、ビルの3階)となっている。

下は、同団体が東京都選管に提出した政治資金収支報告書の表紙と収支の概要を記したページだが(*赤い囲みはハンター編集部)、2,686万10円もの政治資金を集めておきながら、この年の支出は「0」。つまり、集めた政治資金を1円も使っていなかったことになっている。

ここで問題になるのは、新政策研究会の“活動実態”。政治資金収支報告書上、初めてカネの動きがあったのは元年8月16日で、この日、宮路氏の資金管理団体「拓翔会」から2回に分けて、それぞれ1,000万円と1,036万円の計2,036万円が入金されていた。12月には、別の政治団体から4件計140万の寄附を受けている他、5件計510万円の個人献金を受けたとする記載がある。

ちなみに個人献金の内の1件が、家畜の飼育環境に関する国際基準「アニマルウェルフェア」への対応に絡む贈収賄事件で、元農相・吉川貴盛被告に不正なカネを渡していたとされる鶏卵生産大手「アキタフーズ」(本社・広島県 福山市)の元代表・秋田善祺被告からの50万円である。
(*参照記事⇒「宮路拓馬総務大臣政務官側に鶏卵マネー50万円」)

一連のカネの動きは、新政策研究会に活動実態があったことを示しており、経費が「0」ということはあり得ない。少なくとも、飯田橋の企業の「社内」に団体の事務所を置いている以上、団体設立の6月から12月までの半年分の家賃は支払わなければならない。無償なら、その分は企業側からの「寄附」にあたる。

政治資金規正法は会社、労働組合、職員団体などが、政党及び政治資金団体以外の者の政治活動に関して行う寄附(いわゆる企業・団体献金)を『してはならない』と規定。さらに、政党及び政治資金団体以外の者がこうした寄附を受けることも禁じており、違反した場合については、寄附した側も受け取った側も1年以下の禁又は50万円以下の罰金となる。

今月10日、ハンターの記者が新政策研究会の事務所があるはずの飯田橋の企業を訪ねて“こちらに新政策研究会という団体がありますか”と確認したところ、応対した社員は当初、首をかしげて「ありませんが」――。収支報告書を提示して宮路拓馬議員の政治団体であることを説明したところ、「ああ、それならうちの代表(社長)がやっていることです」とした上で、「宮路さんの印刷物なんかは、うちでやっています」という回答だった。

宮路議員と同社の代表者に関係があるのは確かで、社員は政治団体の住所が会社内になっていることに納得した様子だった。

宮路議員の関連政治団体である「拓翔会」「みやじ拓馬後援会」「拓馬会」「自由民主党鹿児島県比例区第一支部」「新政策研究会」の平成29年、30年、令和元年分政治資金収支報告書を調べてみたが、当該企業への支出の記載はなかった。

新政策研究会の会計責任者は宮路代議士の政策秘書で、事務担当者も公設第二秘書。収支報告書に記された連絡先の電話番号は衆議院議員会館にある宮路代議士の部屋の番号だ。議員会館の宮路事務所で公設第二秘書に取材の趣旨を明かし、新政策研究会の事務所住所が飯田橋にある企業の社内ということで間違いがないか念押ししたが、この点については「間違いない」と明言。令和元年の同団体の支出が「0」となっていることについても、変更はないとしている。

事務所費分が違法な寄附の形になっていることについて会計責任者の見解を示すよう求めたが、出稿までに連絡はなかった。

宮路議員の政治資金を巡っては、新政策研究会がアキタフーズ元代表から50万円をもらっていたことの他、資金管理団体「拓翔会」が2017年に50万円の寄附を受けながら政治資金収支報告書に記載せず、ハンターの取材を受けた直後に修正していたことが分かっている。

 

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