小川洋前福岡県知事の突然の辞任を受けて行われた知事選で、共産党推薦候補との一騎打ちを制したのは、県庁生え抜きの元副知事・服部誠太郎氏(66)=自民、立民、公明、社民推薦=だった。
新型コロナウイルスの影響もあって低い投票率となったが、県民の審判が下ったのは確か。「小川県政」から「服部県政」へと動き出す第一歩となった11日、興奮冷めやらぬ選挙事務所から、初当選を決めた新知事がリモートでハンターの単独インタビューに答えた。
―― ご当選おめでとうございます。
服部:ありがとうございます。――小川前知事が病気療養に伴い辞任するという異例の事態。その中で県議会閉幕と同時に副知事を退任し、翌日からいきなり選挙運動という大変なスケジュールでした。県政史上では初のケースでしたが、一連の流れの中で最も印象に残ったことは?
服部:小川知事から、知事の職務代理者として県政を託され、予算議会に臨みました。そこで主要3会派の代表質問で出馬を促され、決断をしました。その責任の重さを感じ、身の引き締まる思いでございました。――選挙前、選挙中、その小川前知事から何か話がありましたか?
服部:(県議会最終日の)3月24日に報告のためお会いした際、「頑張れ。当選のあかつきは県民本位の県政を進めてくれ」とのお言葉を頂いていました。有難かったです。――県議会の主要会派が、党派を超えて服部さんを推しました。共産党を除く政党が新知事を支える、いわゆる相乗りの選挙。今後、知事と議会の間に緊張感を欠くのではないかという懸念もあります。議会とはどう向き合っていきますか?
服部:県政は、知事と議会の二元代表制です。互いの信頼関係を基に、緊張感を保ちながら、しっかりと連携して県政を推進していきたいと考えています。――「小川県政の継承」を訴えて初当選されたわけですが、小川県政のすべてが良かったというわけではありません。特に、新型コロナ対応でのスピード感のなさ、マスクの備蓄がゼロだったことや病床不足への認識の甘さについては、ハンターで厳しく批判しました。そのあたりのことについては……?
服部:厳しい質問ですね(笑)。これまでの一年に余りにわたるコロナ禍の中で、県民の皆様が気づかれた点については真摯に受け止め、また改善すべき点についても、改めて検証していかなければなりません。任せて下さい。――選挙公約の中の4つの基本方針の中に、「ワンヘルスの推進」という項目を掲げておられます。県民にとっては、まだなじみの薄いテーマだと思いますが、新型コロナに世界中が苦しめられる状況が続くいま、重要な施策です。このワンヘルスについて、詳しく教えて下さい。
服部:新型コロナなどの新興感染症の多くは動物由来です。これらに対抗していくためには、人と動物の健康、そして環境の健全性を一体のものとして取り組むという、いわゆるワンヘルスの考えに基づく施策を実施することが重要になっています。ワンヘルスについては、県庁内部に担当部署を設け、しっかりと対応していくことになります。―― 待ったなしでコロナ対策に取り組まれることになりますが、選挙公約以外で、新たな施策を打ち出す予定はありますか?
服部:変異株の流行、まん延防止措置の実施など、事態は日々変化しています。そうした状況を踏まえ、的確な対策をとっていかなければなりません。新たな施策というより、先ずは状況判断。確実にやっていきます。その中で、独自の施策が必要になれば、しっかりと打ち出していきます。――コロナ後を見据えた施策としては?
服部:推測でモノを言うことはできません。申し上げたように、コロナを巡る事態は日々変化しており、何をやらなければならないのかの判断が難しい状況です。ただ、先ほど聞かれましたワンヘルスへの対応は、まさにコロナ後の重要施策となります。――政令市である福岡市と北九州市とは、どのように向き合っていきますか?それに関連して、これまでは何かとギクシャクした福岡市との関係について、今後の展開をお聞かせ下さい。
服部:両政令市を含め、県内の市町村すべてとしっかり連携を図り、「チーム福岡」として県政の推進力を高めていきます。――最後になりますが、「服部県政」を選んだ県民に対し、一言お願いします。
服部:私の、福岡県と福岡県民に対する思いを受け止めて頂いたことに感謝申し上げるとともに、これから、県民の皆様のために、しっかりと仕事をさせて頂くということを、お誓いいたします。
――お疲れのところ、ありがとうございました。