江差看護学院パワハラ事件で注目される鈴木直道北海道知事の動き

北海道立江差高等看護学院で起きた複数の教員による集団パワハラ事件が、拡大の一途をたどっている。

当初、被害を受けた同学院の生徒たちや保護者らが訴えた内容は、理不尽な指導放棄によって留年や休学、最悪のケースでは退学にまで追い込まれているという現状。ところが、報道が始まるやいなや卒業生や元教員などからもパワハラ被害を証言したいとする告発が続々と寄せられる事態となった。

さらには、数年前まで品川由美子副学院長が勤務していた道立紋別高等看護学院でもパワハラが横行していたことが判明。道庁は「コミュニケーション不足」「言葉を重ねただけ」としてお茶を濁す構えだったが、事件の広がりで逃げ道をなくした格好となっている。今後の焦点は、鈴木直道北海道知事がどう動くかだが……。

■道庁にも厳しい批判

一連の報道を見たというある卒業生は、「私や私の友人も、同じ目にあった」として、学院や道庁の姿勢を厳しく批判する。

先月、パワハラ被害の訴えを受けて道庁の職員による聞き取り調査が行われたそうですが、これだけの騒ぎになって教員が替わらなければ、生徒たちは恐怖に震えることになると思います。

私の友人は留年させられましたが、理由は実習のレポート提出が、提出時間に間に合わないという、多くの卒業生・現役性が経験してきたものでした。

今年も、何人もの生徒が留年すると聞いています。毎年、普通の学校ならあり得ない数の生徒が留年していることを、道庁はどう見ていたのか、聞いてみたいです。そんなに簡単に留年させても良いのでしょうか?つまり、品川副学院長をはじめとする指導者の力量は問題視されなかったのか、ということです。

私の時もそうでしたが、言葉の暴力のほか、実習中に手を叩かれたり押されたりしても、親が心配しないようにほとんどの生徒が黙り込んでいるのです。

被害を受けている学校の中で、しかも恐ろしい教員たちがいる校内で、どうして本当のことが話せるでしょうか。これまで被害報告を握りつぶしてきた道庁のことを、私は信用していません。コミュニケーション不足?言葉を重ねただけ?道庁の調査結果をみて、『やっぱり』と思いました。

現在は医療機関で働いているという男性の卒業生は、「こんなこと(パワハラ)は、どこかで止めないといけない」という思いから、卒業以来同学院の情報を丹念に拾ってきたという。在学当時の状況や、ここに至るまでの詳しい経過を聞かせてくれた。

私は江差の●期生です。ハンターの記事が出始めて、『ようやく表面化するのか』と思って見ていました。私の代の仲間と話し合ったのですが、現役生と未来の生徒たちのために、できる限りの情報提供をやろうじゃないかということになりました。●期生と言っても、入学した年がバラバラでしたから、ちょっと●期生と言っていいのかどうか……。つまり、私も含めて何人もが留年していたということです。1年もいれば1年半、2年と留年させられていましたから。30何人かの学年で、ストレート卒業は10人程度だったと記憶しています。

記事にある通りで、課題を受けとってもらえないという理由が一番。他には理由なんてなかったはずです。狙った生徒を留年させるか、退学させるかしかないんですから、理由をでっち上げるしかない。一番都合がいいのが、課題未提出だったんです。

現在の副学院長――品川さんですが、私が入学した頃に、彼女が江差に来たんです。一緒に来たのが、福田という先生でした。その二人が、江差をおかしくしたんです。

まず、気に入らない生徒がいれば、その生徒にターゲットを絞る。そして他の教員を巻き込んで、徹底的に痛めつける。「課題持ってこい」から始まり、「時間切れ。受け取れない」。あるいは、「あんたの指導はしない」。男に対しては、逆差別ですが「男は(看護師に)なる資格がない」とも言われました。酷いもんでした。

品川さんは、いっとき紋別(北海道立紋別高等看護学院)に行ってたはずですが、医療関係者からは、パワーアップして江差に戻ってきたと聞いていました。紋別でも酷いパワハラがあっていたと聞いています。これから被害を訴える人が出てくるかもしれませんね。

話したいことは山ほどありますが、副学院長がパワハラに走る理由は、私には分かります。あの人は、とにかく自分が大事。生徒のことは二の次なんです。猫の話は有名でしたよ。いまはどうか知りませんが、彼女は猫を飼っていて、その猫の具合が悪くなると、学校・生徒をほっぽり出して帰っちゃう。教えることより猫が大事。信じられないでしょうが、そうだったんです。

なぜ生徒をいたぶるのか、ですか?それも自己都合。成果を上げることが一番大事で、だから成績優秀な子は大事にする。普通に看護師になれる実力があっても、特に優秀でないとダメというわけです。国家試験がありますからね。だから、絶対うかる人をちやほやする。要するに、何人落第しようが退学しようが、彼女たちには関係がない。そういうことなんです。成果主義。自己愛。犠牲者は生徒。本当に、ひどい話だと思います。

小笠原さんという記者さんが副学院長を直撃して、1対1でやり取りした記事がありましたが、その中にあった副院長がせせら笑うような場面、あれを読んだ私の仲間たちが、『ああ、アリよね』と言っていました。昔から、人を見下して二ヤつく人なんです。『変わっていないんだな』と皆で呆れてしまいました。(*参照記事⇒「パワハラ疑惑の江差看護学院を直撃取材|副学院長と一問一答」)

実は、これまでに何度も、道庁にパワハラを訴える人がいたことを知っていました。医療関係者から聞いていたからです。ですが、なぜか握りつぶされてきたというのが真相です。一人の訴えは隠蔽できたんでしょうが、今回は集団での訴えだったため、隠すことができなくなったということでしょう。でも、やっぱり認めないでしょうね。

■道庁がパワハラを認めない理由とは?

江差看護学院に関する記事を配信するようになって、何人もの卒業生から「道庁に被害を訴えた」という話を聞いてきた。パワハラを止める機会は、何度もあったということだ。しかし、証言者は異口同音に「握りつぶされた」と悔しがる。では、道庁が頑なにパワハラを認めようとしないのは何故か?江差高等看護学院の事情を良く知る医療関係者は、次のように解説する。

道庁側がパワハラを認めようとしないのは、道庁が過去の責任まで追及されることを恐れているからに他なりません。だって、そうでしょう。理不尽に退学させられた人や、留年を余儀なくされた人たちが、次から次へと訴訟を起こす可能性だってあるわけですから。損害賠償というんですかね、この場合は。実際、多くの人が不当に人生を狂わされたんですから。誰かが立ち上がれば、私も、僕もとなるでしょう。だから、道庁は絶対にパワハラを認めない。汚い連中ですね。学院も道庁も腐ってる。

今月7日に江差高等看護学院で開かれた保護者向け説明会では、現役生や卒業性による被害の訴えに対し、道庁側はパワハラを事実上否定した。保護者の代表らは9日に道庁を訪問し、悪質な教員の処分や、知事との面談の場を設けることを求める要望書を提出している。

犯罪者が教壇に立つ暗黒の学び舎で起きた事件の隠蔽に懸命となる道庁――。鈴木直道北海道知事が、被害者とその保護者にどう向き合うかがこれからの焦点となる。

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