江差看護学院パワハラ、認定52件中19件に副学院長関与|北海道が初めて謝罪

北海道立江差高等看護学院のパワーハラスメント問題で10月29日夜、道の担当課が学生・保護者向けの説明会を函館市内で開き、第三者調査の結果を報告した岡本收司・地域医療推進局長が「傷つき、悩み、苦しんだ学生さんや、そのご家族、地域の皆さまに心からお詫び申し上げる」と頭を下げた。一連の問題で道が謝罪したのは、今回が初めて。

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説明会では関与教員の処分や学生の救済策などについて質問が相次いだが、今後の対応の期限などが示されることはなく、参加者らは改めて一刻も早い問題解決を求めた。

説明会は函館市内のホテルで開かれ、休学者を含めた学生や保護者ら約30人が足を運んだ。道からは第三者委に認定されたパワハラ52件すべての概要が示され、今後の対応について説明があったが、これまで同様「いつごろまでに」といった期限が示されることはなく、参加者からはたびたび不満の声が上がった。下が、認定されたパワハラ事案の内容を示した資料だ。少なくとも11人の加害教員によるパワハラが52件、うち19件は副学院長(資料では「A教員」)によるものだった。

 会場に関与教員の姿がないことにも疑問が呈されたが、道はこれに「今後、個別に謝罪の場を設けることを検討する」と対応。またパワハラ加害者の一部が過去に旅費の不正受給問題を起こしていたことから「不正発覚時点で教員としての資質がないと判断しなかったのか」との問いが上がったが、道は「その時点ではそう判断しなかったことになる」とし、不正を告発した教員がハラスメントに遭って退職に追い込まれた事実については「雑誌の記事で知った」との認識を示した。

質疑応答は終了予定時刻の午後9時を回っても続き、終了間際には「コロナ禍で看護師を志した子供たちを1人の人間として見てほしい」と涙ながらに訴える保護者の姿も。参加者の依頼で説明会に立ち会った函館弁護士会の植松直弁護士は「これはパワハラではなく犯罪。道職員の皆さんには法律上、職場の犯罪を告発する責任があるはずだ」と厳しく追及した。

終了後、保護者有志で構成する「父母の会」メンバーらは「第三者調査が思っていたよりも学生に寄り添った形だった」と調査結果を評価しつつ、説明会については「あまりにお粗末。昨秋の告発を握り潰した職員の責任を『これから調査する』としていたが、第三者調査が終わる前になぜそれに着手しなかったのか」と、強く疑問を呈した。

認定されたパワハラ52件のうち、ハラスメントの「主犯」と目される副学院長が関与していた事案は19件に上る。これについて地元報道に問われた道は「現場のトップが(加害件数か)最も多いということを重く受け止め、第三者調査結果をふまえてしっかりと対応していく」としたが、同副学院長ら加害教員の異動や処分の時期については「可能な限りすみやかに」と述べるにとどめ、ここでも「締め切り」への明言を避けた。

先の植松弁護士によると、来週にも弁護士会で一連の問題への対応を話し合う場を設け、場合によっては弁護士会として被害者支援を検討することになるという。ハラスメント関与教員、とりわけ副学院長の処分について、父母の会関係者は「懲戒免職が妥当」としている。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

*「江差高等看護学院の正常化を求める父母の会」公式サイト⇒https://esashi-seijo.main.jp/

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