北海道立江差高等看護学院のパワハラ問題で27日、北海道の担当課が保護者らの緊急要請にまたしても「ゼロ回答」をもって対応した。賛同署名を持参して早期の問題解決を求めた保護者らは、年明けから遅々として進まない行政の対応に「未だに何も改善されていない」と憤りをあらわにしている。
道医務薬務課に江差の問題の正常化を求める緊急要請を寄せたのは、パワハラ被害を訴える学生の保護者らでつくる「父母の会」メンバーら5人。対応した看護政策担当課長に3622筆の署名を手渡し、加害職員の配置転換などを求めた。同課長はこれを受け「第三者を入れた調査」を検討中であることを明かしたものの、報道陣をシャットアウトした約30分間の話し合いでは調査の進捗や今後のスケジュールなどをあきらかにせず、休学・退学した学生らの救済措置も示さなかった。
話し合い後の記者会見で保護者らは「何をいつまでやるのかがはっきりせず、とても納得できるものではない」と道の対応を強く批判、「一刻も早く解決しないと学生間の溝が深まってしまう」と、時間が経つほどに救済の意味が失われていくことを訴えた。父母の会として求め続けている教員の配置転換についても道からは明答がなく、被害を訴える学生に改めて聴き取り調査などを行なう考えも示されなかったという。檜山管内から札幌に駆けつけて要請に参加した保護者の1人(63)は、次のように指摘した。
「いつまでも回答がないのは、問題を風化させるためではないのか。『そのうち世間の関心も薄れてくるだろうから、頑張って引き延ばしてやろう』という思いが透けて見える」
父母の会が道に事態の改善を申し入れるのは、同日で2度目。関係者らは今後も署名活動などを継続しつつ、一刻も早い問題解決を求めていくとしている。
(小笠原淳)
(※ 江差高等看護学院パワハラ問題のレポートを、現在発売中の月刊「北方ジャーナル」5月号に掲載しています。)
【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】 ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。 |