福岡県田川市(二場公人市長)が、ごみ収集業者の選定に関する文書を開示するよう求めたハンターの情報公開請求に対し、異常とも思える対応で隠蔽姿勢を露わにした。対象事業の業者選定過程に、瑕疵があった可能性がある。
同市に開示請求したのは、一般廃棄物収集運搬業務の委託先を決めるため実施されたプロポーザルの関連文書。請求書提出にあたっては、開示決定期限を引き延ばしてくることを見越して、業者の「提案」を採点・評価した際の「個票」だけを別扱いで請求していた。下が2件の請求書である。
これに対し、田川市が早々に送りつけてきたのが次の「決定期間延長通知書」。案の定、開示決定までの期間を20日近く延長するという内容だった。
理由は、業者の提案書を開示してよいか否かを業者側に聞く時間がかかるというもの。予想していただけに抗弁するつもりはなかったが、「個票」の開示決定期限まで延長したことには呆れてしまった。これは絶対に容認できない。
プロポーザルの提案書には当該企業が表に出せない情報も含まれていることから、業者に開示の可否を問うと言われれば拒めない。しかし、「個票」はプロポーザルの審査委員が評価項目ごとに点数を付けた際の採点用紙。業者に開示の可否を問うべきものではない。
ちなみに、下は福岡市発注事業の事業者選定で使用された「個票」だが、特別な企業情報に触れる部分以外はオープン。多くの自治体で、取材する事案ごとの「個票」を何十回と見てきたが、開示にあたって「業者におうかがいを立てる」などというバカな話は聞いたことがない。
そもそも「個票」は、総合評価やプロポーザルの結果を証明する重要な公文書で、保有していればほとんどの役所が無条件で開示するものだ。誤って廃棄するケースもあるが、それはたいてい官業癒着の「疑惑」を持たれた案件というのが相場になっている。
田川市が個票を開示するか否かの判断を業者に相談するという間違った方針を下した理由は、都合が悪い話があって時間稼ぎがしたいのか、業者に頭が上がらないかのどちらか。市関係者の間からは、定められたプロポーザルの手順の重要な過程が省かれたとの話も出ている。事実なら、業者選定に至るまでの手続きに瑕疵があったということになる。
役人の間違いを正すのは首長の責任だが、田川市長の二場公人氏にそれができるだけの能力と資質があるのか――。実は、別の情報公開請求で入手した文書から、田川市長選に絡んだとんでもない事実が明らかとなっている。詳細は次の配信記事で。