衆院補選3連敗で強まる「岸田降ろし」の可能性

今月16日、衆院東京15区、島根1区、長崎3区の補欠選挙が告示される。アメリカを国賓として訪れていた岸田文雄首相は14日に帰国したが、ある自民党の大臣経験者は「総理は、補欠選挙の前に支持率をあげたいと5泊7日という長期滞在で、日米関係をアピールして選挙直前に帰国した。訪米の成果を宣伝して支持率アップにつなげ選挙を勝ち抜こうという戦略だが、どうも芳しくない」と冴えない表情だ。永田町では、補選3連敗を前提とした解散総選挙の日程が出回っている。

■島根1区

補欠選挙3連敗⇒6月23日の会期末前後で解散総選挙 ―― まことしやかに語られている日程だ。ただ、6月23日は沖縄慰霊の日なので、その日に衆議院解散は難しいとみるのが一般的。そこで6月12日に解散して、18日に公示、31日に投開票という案が浮上しているという。

「12日、18日、31日が、いずれも大安だからでしょう。ただ2021年10月に岸田首相が打った解散総選挙では、公示も投開票日も仏滅だったのに勝った。補欠選挙3連敗となれば岸田首相の求心力は一気に低下し、厳しい処分を受けた安倍派などはごぞって岸田降ろしに走るはずですから、どの程度の反発かで、解散総選挙がやれるかやれないかが決まるんじゃないですか」(自民党の幹部)

三つの補選のうち、岸田首相の命運を分けそうなのが島根1区。自民党が候補者を擁立しているのは島根1区のみで、細田博之元衆議院議長の後継として元財務官僚の錦織功政氏を擁立した。立憲民主党がぶつけてきたのは元職の亀井亜紀子氏。自民党にとっては「天王山」の戦いとなるのだが、報道関係者の間では、錦織33、亀井46という厳しい情勢調査の数字が出回っている。

「細田元衆議院議長にかけられたセクハラ、旧統一教会、そして安倍派裏金の疑惑と、マイナスが材料ばかり。細田先生の選挙では、動員をかければ30人、50人と軽く集まったが、今は10人も来ない。島根は保守王国ですが、あまりに自民党のイメージが悪すぎて、とても勝てる状況じゃない」(県都、松江市の自民党市議)

錦織氏は3つの補欠選挙で唯一の公認ということで、上川陽子外相、石破茂元幹事長ら大物が続々と島根1区入りしている。しかし、前出の自民党市議は「細田先生の時代は、対立もあったが選挙になれば一枚岩。しかし、錦織さんは高校まで松江にいたというだけで、事実上の落下傘候補。細田先生の顔は誰もが知っていたが、錦織さんの場合は『あれ誰ですか?』という感じ。支援者の熱量が全然違います」と渋い表情だ。

一方、立憲民主党の亀井氏陣営は情勢調査の数字が好調をキープ。泉健太代表ら幹部が繰り返し島根1区に入っている。立憲民主党の幹部も鼻息が荒い。
「島根と鳥取といえば、自民党の牙城。その一角を崩せれば、そう遠くない解散総選挙ではさらに議席増のチャンスが広がり、ようやく岸田首相を追い込める。裏金事件に対する有権者の不信感は、しばらく消えそうもない」

■長崎3区

長崎3区は、谷川弥一氏が裏金事件で立件され議員辞職。自民党は長崎県議らの出馬を模索したが、断念した。前回総選挙で谷川氏に惜敗し、九州ブロックで比例復活した現職の山田勝彦氏と維新の新人・井上翔一朗氏が激突することになりそうで、国政レベルでは珍しく自民党抜き、立民VS維新という構図だ。選挙には関係がなくなった、ある地元の自民党県議がクールに話す。
「山田さんは、お父さんが大臣を務めたこともあり知名度は十分。地道に地元回りもしています。維新は勢いがありますが、どうでしょかね。よその陣営のことはわかりませんね。10増10減にかかっている選挙区ですから」

■東京15区

自民党は東京15区も独自候補見送り。東京都の小池百合子知事が推す、乙武洋匡氏への推薦も出さないことが決まった。長崎3区と合わせ、2連敗確定だ。前出の自民党大臣経験者は危機感を隠そうとせず、こう話す。
「岸田総理は4月21日を軸に島根県入りを考えている。1年前の補欠選挙では和歌山1区で爆弾を投げつけられたが、そんなこと関係ないとばかりに補欠選挙に注力するという。しかし、島根1区に行った議員からは、『地元のどこにも岸田首相のポスターが貼られていない』『岸田首相のポスターを貼ると票が減る』と聞かされた。岸田さんは、それくらい人気がない。情勢調査でも危うい数字が出ている島根1区も負ければ3連敗。岸田総理は即退陣というムードにもなりかねない」

秋には自民党総裁選が控えており、支持率低迷の岸田首相が再選される可能性は低い。退場ムードになるのは間違いない。解散が打てるとすれば6月の国会会期末しかない。

そうした中、岸田首相のライバルと目される高市早苗安全保障担当相は今月13日、『高市早苗さんと歩む大阪府民の会2000人大会』を大阪市内のホテルで開催。会場には入りきれんばかりの人であふれたという。また、次の総理・総裁の座は、河野太郎デジタル相ら、名前があがる総裁候補も虎視眈々と狙っている。

「岸田首相誕生の際、中心となって動いた安倍派が解散となったことをみても分かるように、派閥がなくなったことで、総裁選の行方が読みづらくなった。裏金事件で厳しい処分を下したことで、さらに岸田首相の求心力は弱まった。多くの議員から恨まれているというのが実情だろう。四面楚歌となった岸田首相にとって、最後の切り札となるのが解散総選挙。解散総選挙で勝つことが首相の続投条件だ」(自民党の幹部)。

三つの補選は、岸田首相「退場」の時期を決めるものとなりそうだ。

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