公式サイト「国税査察専門安心」で“国税当局による刑事告発や重加算税をゼロに”と謳った東京永田町税務事務所(代表:田邊政行税理士)が、東京税理士会の指導を無視し、違法性が疑われる広告の記述を削除せずに顧客集めを続けていることが分かった。
代表税理士である田邊氏は、「麻生」を名乗る人物らの「永田町交渉人チーム」と組んで税理士業務を展開。公式サイトの中で“告発・重加算税をゼロに”と謳って顧客を誘い出し、即日契約と着手金を求めた上で、「電話1件50,000円・事務所対応50,000円」などという高額な報酬を請求していた。
公式サイト「国税査察専門安心」では、《ほとんどの税理士は、国税査察の経験がありません。そのため、告発自体を無くすことができるとは、ほとんどの方は知りません》《「交渉術。」を持たない顧問税理士や弁護士による、場当たり的な方法では、解決は困難で、告発されない事案も、告発されてしまう可能性が非常に高くなります》などと他の税理士を低評価した上で、《国税査察専門安心では「交渉術。」により、「告発」も、「重加算税」も、軽減ではなくゼロに致します》と宣伝。いずれの記載内容も税理士会が定めるルールに抵触しかねないもので、特に《「告発」も、「重加算税」も、軽減ではなくゼロに致します》は、違法性が疑われる宣伝文句だった。
そうした広告内容を信じた会社経営者の一人が、田邊税理士から「追徴に備えて」と言われ現金で1,500万円を預けたところ、問題は解決されずトラブルに発展。契約解除となったが、半額程度しか返金されなかったという。
この過程で、「永田町交渉人・麻生」を名乗る人物が、“国の権力で(脱税を)認定して、検察庁から逮捕。可能性がある”、“査察がもう一回来て、逮捕されて、告発されて、もう手遅れ。逮捕しに来ました。持っていかれます。もう出てこれない”などと脅しともとれる言葉で会社社長を追い込み、契約を続けるよう促していた。「永田町交渉人・麻生」氏に税理士資格がないことが分かっており、同氏が本当に国税当局と交渉していたとすれば、税理士法違反に問われる可能性もある。
サイトの広告内容だけでなく、活動実態にも違法性がつきまとう状況。ハンターは、一連の取材結果をまとめ、田邊税理士が所属する東京税理士会に見解を求めていた。
東京税理士会の綱紀監察課は、“できもしないことを謳った誇大広告”、“過度な期待を抱かせる内容の広告”、“不安を煽る内容の広告”は指導の対象になると説明していたが、23日の記者の確認に対し「指導はしました」と明言。その上で「詳しいことは明かせないが、(東京永田町税務事務所の)サイトの記述が変わっていないことも確認している」と話している。
つまり、東京永田町税務事務所は税理士会の指導を受けていながら、これを無視し、不適切とみられる広告で顧客を誘う行為を続けているということになる。