【自民党総裁選】注目集める二階派と石破元幹事長の動き

告示を前にして、出馬を目指すすべての候補が安倍晋三元首相にひれ伏してしまった自民党総裁選。河野太郎行革担当大臣が出馬表明し、岸田文雄元外相、高市早苗元総務相との三つ巴の構図が固まりつつあるが、「安倍政治」の継続が決定的となったことで国民の間には“しらけムード”が漂い出している。

状況を変える可能性を秘めているのは、安倍と距離を置いてきた石破茂元幹事長のみ。いま、その動向に注目が集まっている。

■「白紙」で様子見の石破氏

前回の総裁選では、いち早く菅義偉首相をかついでキングメーカーとなった二階俊博幹事長だったが、今回は岸田氏から「二階おろし」の党改革案を打ち出され、退任が「決定事項」になってしまった。ある二階派の議員が、暗い表情でこう話す。
「幹事長を辞めざるを得ない状況になりましたが、一番の問題はうちの派に総裁候補がいないこと。そこが他の大派閥と違うところです」

確かに、総理総裁候補がいて政権中枢で一定の存在感を示せる派閥は強い。かつて隆盛を誇った竹下派の力が低下したのは、総理総裁を狙える政治家が育たなかったせいだ。石原派にしても、いずれは他派閥に吸収されるものとみられている。

我が世の春を謳歌してきた幹事長派閥から、一転して干される可能性まで出てきた二階派で、“出世頭”とされるのは武田良太総務大臣。だが、「期待はあるが、すぐに総理総裁になれるわけではない」(前出の同派代議士)との声が大半だ。次善の策とがあるとすれば、派閥がまとまって総裁選のキャスティングボードを握ることだろう。

そこで二階派として石破茂元幹事長を担ごうとしたが、石破氏は「白紙」というばかり。野田聖子幹事長代行が支援を求めてきたというが、これには派内の拒絶反応が強いという。
「二階派は民主党にいた細野豪志衆院議員を特別会員として抱えている。IRに絡んだ贈収賄事件で実刑判決を受けたばかりの秋元司被告も、まだメンバーだ。しかし野田氏だけは勘弁してというのが大方の本音ですよ」(前出・二階派の代議士)

野田氏については、夫の野田文信氏が指定暴力団・会津小鉄会の元幹部組員だったことを週刊新潮がスクープ。文信氏は名誉棄損だと提訴したが、東京地裁は記事の信用性を認める判決を下している(現在控訴中)。問題児が多い二階派でも、さすがに、夫が元暴力団員というのはマズいということだろう。
「週刊新潮だけではなく、週刊文春のネット記事でも『警察庁が文信氏を暴力団員と認定している』という趣旨の記事が出たことがダメ押しになった」(前出・二階派の議員)

■党員調査では石破氏一位

二階派にとって、幹事長降ろしに走った岸田氏だけは絶対に容認できない。高市と河野からは、「二階派のテイストには合わない」「イメージの悪い二階派の表立っての応援はいらない」などと拒否反応を示された。そこで二階派の幹部らは、再度石破氏を口説いているという。

石破氏は、森友・加計や桜を見る会の再検証について、「必要なことであればやらなければいけない」と明言。安倍元首相や麻生太郎副総理兼財務大臣が一番嫌がることを口にできる唯一の政治家だ。キングメーカーの2人に喧嘩を売るような発言は、石破氏がまだ出馬に含みを残している証左ともとれる。古参の自民党幹部は、次のように解説する。
「安倍・麻生の下に150人ほどの国会議員がいる。だが、お二人の数の力で押し切る政治に反感を抱いている議員は少なくない。石破が地方に強いことは過去の総裁選で実証済み。河野や岸田、高市が二人の元総理になびく中、石破が“脱安倍政治”の票をまとれば、勝負になるという空気が自民党内にある」

石破氏に注目が集まる理由は、他にもある。報道各社の調査では河野氏の人気が高いような記事が目立つ。しかし、ハンターが入手した自民党本部のものとみられる党員を対象にした調査データ(9月4日時点)では、石破氏がトップに立っているのだ。(*下がそのデータの画像。クリックして拡大)

石破氏29%に対し、二位の河野氏が21%、岸田氏が19%、高市早苗氏8%――。各県の自民党関係者からは「実情を正確に反映している」という声が多く、取材結果とも符合する数字だ。この時の状況が続いていくとすれば、石破氏の出馬が総裁選の結果を左右するのは確実である。石破氏が二階派の誘いに乗るかどうか――。

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