日大疑惑で注目される田中理事長逮捕の「Xデー」

日本大学の病院建設をめぐって、東京地検特捜部が、日本大学の理事・井ノ口忠夫容疑者と大阪の医療法人「錦秀会」の前理事長・籔本雅巳容疑者を逮捕した。日大板橋病院の建て替え工事に絡んで、設計会社を通じて2億円を流出させたという背任容疑だ。

2人を逮捕した10月7日、特捜部は田中英寿日大理事長の自宅に、9月に続く二度目の捜索に入っている。田中氏が特捜部のターゲットになっていることについては疑う余地がない。

◇  ◇  ◇

日本大学は、同大が100%出資していう「日本大学事業部」に病院建設の関連業務を委託。設計会社には24億4千万円で設計監理業務を発注して、うち7億円が最初に支払われている。井ノ口容疑者は、その中から2億円を籔本容疑者の関連するペーパー会社に振り込むよう設計会社に指示していた。

ある捜査関係者は、事件をこう読み解く。
「本当は20億円ほどの仕事を、自分たちもカネがほしいとして設計会社に値段を水増しさせ、24億円ほどになった。うち7億円をまず支払わせて2億円を抜いた。最初からカネを個人的な懐に入れようとした計画的な犯行だ」

籔本容疑者の関連会社(東京都港区)に設計会社から振り込まれた2億円のうち、1億円を籔本容疑者が配当名目で引き出し、残りが井ノ口容疑者側に渡ったとみられている。そのうち、3,000万円が謝礼として田中理事長に渡っていた疑いが浮上している。

井ノ口容疑者は設計会社に対して、2億円の増額を要求するとともにプロポーザルのポイントを教えたり、評価点数をアップさせて受注工作を図っていたという。

籔本容疑者については、「個人的に使えるカネがほしいというのが動機ではないか」として同容疑者の知人はこう話す。
「籔本さんは、7、8年前だったか『月給が1億2,000万円ありますけど、半分は税金で残り6,000万円が使えます。けど病院関連の事業で個人保証しているので3,000万円の支払いがある。つまり、小遣いは3,000万円しかない』とぼやいていた。北新地のクラブで、1本何万円もするようなワインを女の子の頭からかけて喜ぶような飲み方をするような人。一晩で200万円、300万円と使いますわ。そら、カネが足らんかったのかもしれませんね」

井ノ口容疑者や籔本容疑者は、大阪の「ヤメ検」敏腕弁護士二人を使って対抗しているという。どちらも、元特捜のエースで弁護士転身後は「闇社会の守護神」といわれた田中森一氏(故人)の右腕だったという。

しかし、前出の知人は「籔本さんは逮捕前『いい弁護士がついたから大丈夫だ。否認して勝ち抜く』と自慢げに言っていた。しかし、相手は東京地検特捜部ですからね。籔本さん周辺からは厳しいとの声も漏れ伝わってくる」と懸念を示す。

注目は田中理事長逮捕の「Xデー」だ。日大の関係者は、次のように話している。
「日大は田中理事長の独裁体制で、井ノ口はそれを忠実に実現する側近ですね。設計会社に代金を2億円も増額して支払うなんてことは、井ノ口が勝手にできることではありません。田中理事長は、相撲などを通じて、籔本とも親しいと聞いていた。理事長がなんらかの指示なり了承をして、井ノ口と籔本のラインが動いたということ。そうとしか思えんません。日大の幹部が集まれば、理事長のXデーがいつかという話ばかりです。東京地検特捜部の取り調べに否認しているらしいですが、それが簡単に通じる相手ではありません。日大は国から毎年約100億円、地方自治体から約50億円の補助金があります。理事長逮捕となればストップされる可能性もあり、たちまち経営危機ですよ」

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