2020年はオリンピックイヤーなのだが、アメリカではオリンピックと同じ年に大統領選もある。
4年に1度の大きなイベントで、1年以上前からアメリカでは次の大統領選の話題が盛り上がりを見せる。
今回は日本とは異なる国のトップの選挙について、分かりやすく解説してみたい。
アメリカの直近の大統領
アメリカの大統領は、1789年にジョージ・ワシントンで始まり、現在のトランプ大統領で45代目となっている。日本では当時は徳川家斉が江戸幕府の11代目将軍として国を治めている時代だ。
1862年の奴隷解放宣言で有名なリンカーンは16代目であり、現在で45代目なのだから、安倍総理で62人目である日本の総理大臣と比べてアメリカの大統領は任期が長い。
記憶の新しい直近では、トランプ大統領の前から順にオバマ大統領、ブッシュ大統領、クリントン大統領が3名とも8年の任期を全うしている。
アメリカの大統領の任期は4年と決まっているのだが、ここ10数年は再選を果たしている傾向がある。
また、3期連続して選出されることはアメリカ合衆国憲法の規定で認められていないので、最大で8年までとなっている。
大統領になる資格
大統領になるための資格は、アメリカ合衆国憲法第二条の規定で「35歳以上、アメリカの市民権保持者、アメリカに在留している期間が14年以上」という決まりがある。
アメリカで生まれ育っても、人生の多くを海外で過ごし14年もアメリカに住んでいない場合は大統領になることができない。自由の国と言えども、一国のトップになるにはその国で充分に生活し、愛国心を持っていなければならないという考え方だ。
アメリカはご存知の通り多様な人種と国籍を持った人がいる。この記事を読んでいただいている多くも日本人だと思うが、私たちはアメリカの大統領になることはできないのだ。ちなみに、州知事に関しては、移民でも選出されることがある。
大統領選は政党の代表による事実上の一騎打ちになる
アメリカの政治は共和党と民主党の2大政党から成っている。1850年にはホイッグ党という政党から大統領が選出されているが、150年以上もの間、この2大政党の代表のどちらかが大統領に選出されている。
ただ、共和党と民主党以外からも立候補は可能だ。50州あるうちのほとんどの州から有権者の署名を集めることができれば、無所属でも立候補することができる。それでも、2大政党以外からの立候補には最終的に約80万人分の署名が必要となる。それでも、前回や前々回の大統領選ではアメリカ緑の党やリバタリアン党などの立候補者が参戦した。
政党の代表の決定
共和党と民主党は、大統領選を戦う候補者を選出しなければならない。2020年大統領選は11月だが、8月までには各党の候補者が決定される。
50の州で行われる予備選挙で当選した候補者が更にまた選挙を行い、1人の候補者に絞り込む。ただし、政党から選出される候補者選びは党員のみ選挙権があり、一般国民には投票権はない。
もちろん、大統領選本選は、選挙権を持つ全てのアメリカ国民が投票できるのだが、候補者は党員が選出するというかたちだ。
最終的には535人の選挙人による選挙
最終的な大統領選は、少し複雑な選挙法になっている。
各州から選挙人と呼ばれる大統領選の有権者が535人おり、その535人だけが大統領選の選挙権を持つ。この部分が少し複雑かもしれない。
一般の有権者は予め投票先の候補者を制約している代議員団に対して投票する。そのため、選挙人が投票する候補者は一般の有権者の投票によって決まる。ただし、選挙人は一般の有権者の投票結果を無視して異なる候補者に投票することも可能なのだが、ほとんどそのようなことはない。その535人の選挙人が投票した候補者の中から、最も得票数の多い候補者が大統領として選ばれる仕組みだ。
選挙人も一般の有権者による投票で選任されるのだが、限られた535人の選挙人を投票で決定し、その選挙人が大統領選に投票するという仕組みと言えば分かりやすいかもしれない。
2020年の大統領選の結果はトランプで決まりか
2016年に民主党のヒラリー・クリントンを下し、大統領に選任されたドナルド・トランプ。
8年間民主党のオバマ大統領の後を引き継いだ形だが、ブッシュ大統領以来、共和党の候補者が大統領に選任されたかたちになる。
就任以来、経済政策だけでなく外交でも大きく結果を残してきているトランプ大統領。荒い発言やツイッターなどでの意思表示は批判の対象となることがしばしばあるが、評価は高い。
民主党も共和党も候補者はまだ決まっていないものの、共和党はトランプ大統領の一択。それに対抗する民主党の候補者は現在もし烈な争いを繰り広げている。
民主党や第3の政党からの候補者が出ようとも、アメリカ国内でもトランプが再選される見方が多いのが現状である。