文通費問題で維新に突き刺さるブーメラン

10月の総選挙で初当選した日本維新の会の小野泰輔衆院議員が、たった1日でも月額100万円が満額支払われる文書通信交通滞在費(以下文通費)について問題提起した。

すぐさま反応した大阪府の吉村洋文知事は、野村議員のツイートに賛同する形で「維新の新人議員、小野さんから。なんと10月分の文書通信交通滞在費100万円が現金で満額支給されたとのこと。10月分?選挙の投開票日が10月31日なんだけど。どうやら1日だけでも国会議員の身分となったので、10月分、100万の札束、満額支給らしい。領収書不要。非課税。これが国会の常識。おかしいよ」と投稿、文通費問題に一気に火が付いた。ところが……。

■ブーメランは吉村知事に

じつは、吉村知事自身が2015年10月1日付で大阪市長選出馬のために衆院議員を辞職した際、100万円を受け取っていた。文通費問題に油を注いだ吉村知事自身が、たった1日の在籍で100万円を手にしていたことがバレたのである。

日本維新の会では、国会議員が受領した文通費を当該議員の政治団体に寄附。それを日本維新の会のホームページでまず公表し、後に政治団体の政治資金収支報告書に記載することで使途の透明性を図っていると主張してきた。11月16日の会見で吉村知事は、同様の話を繰り返しながらも2105年10月の100万円について聞かれると「細かいことは覚えていない。6年前ですから何に使っていたか覚えてない。維新の定めたルールでやっていた」。しかし、問題となっている2015年10月の吉村知事の文通費については、何故か日本維新の会のホームページに記載がない。

さらにその点を追及されると、「文通費に細かく対応したわけではない。細かく考えるなら、(もらえる)権利がある国会議員を続けていた。それを放棄して市長選に挑戦した。なにかネットなどでは日程操作して(文通費を)もらったという話もあるが、こすいこと考えるなら市長選に出ていない」と自己の正当化を図り、続けて「追及しないメディアもおかしい」とメディアに責任転嫁してしまった。

最後は、「実際ブーメランが僕に刺さっています。これに僕が大きく火をつけた、大拡散した、これでもかと発信。ブーメランだがよかった。われわれが大騒ぎしたから、自民党も幹事長が寄付などと言い出した。社会のおかしいところ正すのが政治だ」――牽強付会と言うしかない。正すべきは、吉村知事自身の政治姿勢だろう。

◇  ◇

吉村知事は、2015年10月6日のニコニコ生放送【大阪維新の会特番】に出演。橋下徹元大阪市長との間でこんなやり取りを交わしていた。

橋下:毎月100万円、経費をもらうわけね、文通費。

吉村:いや文通費の公開、あれは市長と幹事長いいところに目を付けたなと。ウイークなところついていただいて(笑)。もうちょっと内緒にしてもらったら。あれは完全に第二の財布ですからね。維新の党はは公開してますけど、あれ公開しない(党)は、本当に第二の財布で、飲みしろやなんやに消えてるでしょうね。

橋下氏:税金もそこ、かかっていないですからね。

吉村知事は、この時点で文通費の問題を十分把握していたということだ。

16日の会見では「日本維新の会では文通費の公開、国会で法改正を求めていく」「領収書をもらい、精算し、あまれば返金すべき」と述べる一方で、問題の100万円については「覚えていない」で逃げ切りを図ろうとする吉村知事。だが、よく考えてほしい。吉村知事は大阪弁護士会に登録されている弁護士でもある。そういう立場であれば、「細かいことは覚えていない」と強弁する前に自身がもらっていた100万円の使途をまず確認し、公開するべきではないのだろうか。

■維新にさらなるブーメラン

吉村知事と維新には、さらなる「ブーメラン」が突き刺さる可能性もある。11月16日、かつて維新に所属していた丸山穂高元衆院議員はこうツイートした。
「維新は、税金なんだから使い道を公開すべきと主張するなら、本部の政党交付金から国会議員団へ税金が流れて、掴み金で馬場議員や遠藤議員が毎月何百万もじゃぶじゃぶ使っている組織活動費の件も、使い道全て公開すべきでは?税金アジャースというなら別ですけどね〜」――日本維新の会の本部から国会議員に支給されている『組織活動費』の明細を公開するように求めたのだ。

丸山氏のツイートを受けた橋下氏も、「毎月何百万というのは誇張だとしても年間で数千万円も何に使う?維新国会議員団は文通費だけでなく活動費にもメスを入れるべき。新人議員たちは先輩を突き上げよ!それが維新」と書き込んでいる。

丸山氏の指摘する組織活動費の原資は政党交付金であり、つまりは税金。2019年の日本維新の会国会議員団の政治資金収支報告書を見ると、約6千万円が、馬場伸行幹事長、遠藤敬国対委員長らに渡っていた。

日本維新の会の代表を務める松井一郎大阪市長は「組織活動費は国会議員幹部のみで消費している訳ではなく、大阪維新の会含めて全ての地方議員の活動費として使用しています。維新の会の地方議員が全国で活動する時の旅費、滞在費に支給しており、国会議員執行部の飲食経費が全てではありません」とツイートしているが、活動費の一部が国会議員執行部の飲食に使用されていることを認めているようにも読める。

政党交付金は、自由な政治活動という観点から使途の制限はないが、飲食経費に使われるというのは理解に苦しむところ。吉村知事や維新は、新たなブーメランに対して、どう対処するのだろうか。

■過去にはペーパー団体使って「交付金ロンダリング」

ちなみに維新による政党交付金の扱いを巡っては、旧「維新の党」が分裂した2015年、橋下元大阪市長が「解党して政党交付金を国に返す」と主張。ところが、新たに設立された「おおさか維新の会」に参加した議員らの政党支部が受け取っていた交付金の残額を、ペーパー団体「なんば維新」に入金した後、年を越してから各議員側に還流させる方法で「交付金ロンダリング」を行っていたことが分かっている。
参照記事⇒《おおさか維新 “交付金ロンダリング”の実態 》・《日本維新の脱法行為 ペーパー団体使って交付金ロンダリング

 

 

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