遠山元議員在宅起訴、共同通信が1日前に「誤報」|弁護士事務所の誤送信を確認せず

28日、東京地検特捜部が遠山清彦元公明党衆院議員を貸金業法違反の疑いで在宅のまま起訴したことを発表した。大手メディアは一斉に遠山起訴を報じたが、共同通信は前日の27日に、とんでもない「誤報」を流していた。

■起訴前日に「速報」

共同通信が27日に速報した記事の見出しは、【遠山清彦 元衆院議員ら在宅起訴 貸金業法違反罪 コロナ関連融資巡り違法な仲介】というもの。<日本政策金融公庫の新型コロナウイルス関連の融資を巡り違法な仲介をしたとして、東京地検特捜部は27日、貸金業法違反罪で元公明党衆院議員遠山清彦氏(52)=今年2月辞職=ら4人を在宅起訴した>との内容だ。実際の起訴は28日であり、前日にこうした記事が流せるわけがない。共同の速報は、この後とんでもない展開を見せていた。

27日午後3時38分、共同は【在宅起訴したかどうかの事実関係に疑義が生じたため、記事を取り消します】と配信。まず、インターネットなどから前出の記事を削除した。

次いで午後7時過ぎ、ようやく【共同通信が遠山元議員記事で誤報】との見出しで、次のような訂正記事を出す。

<共同通信は27日、日本政策金融公庫の新型コロナウイルス関連の融資を巡り、東京地検特捜部が貸金業法違反罪で元公明党衆院議員の遠山清彦氏ら4人を在宅起訴したと報じた。しかし在宅起訴された事実はなく、誤報だった。27日午後、「検察官から起訴手続きを行ったとの通知を受けました」とする遠山氏のコメントが東京・霞が関の司法記者クラブ幹事社に届いた。共同通信は在宅起訴の情報を法務検察関係者からも得たため、4人を在宅起訴したと報じた。その後、弁護士事務所から「送信ミスで、在宅起訴の確認は取れていない」と訂正連絡が幹事社にあった。取材した結果、既に在宅起訴したとの情報は事実と異なることが判明、午後4時ごろに記事を取り消した。>

あまりにお粗末。あたかも、“遠山氏についているヤメ検弁護士の事務所のFAX誤送信が悪い、在宅起訴の情報をもらった法務検察関係者のせいだ”と言わんばかりの言い訳が並ぶ。

誤送信されたFAXをもとに、遠山氏の在宅起訴を報じたのは共同通信だけ。その配信を通じ東京新聞なども記事にしたため、より「誤報」が広がった。

■裏付け怠った共同、それ以上にお粗末な弁護士事務所

司法記者クラブには、新聞、テレビ、通信社など30ほどのメディアが加盟しており、常時数十人の記者が出入りする、日本の記者クラブでも指折りの規模だ。しかし、共同通信以外は、裏付けがとれなかったため報じていなかった。

ある記者クラブ加盟社の関係者が、27日の状況をこう振り返る。
「東京地裁の中にある、司法記者クラブにFAXは届きました。幹事社を通じてFAXは加盟社すべてに届けられました。遠山氏の件のような注目される事件で処分が出れば、必ず東京地検から記者発表が入ります。しかし、昨日はその告知がなく、FAXが届いても裏付けがないため原稿の準備をするだけでした。これはうちだけではなく、共同通信以外は同じだったと思いますね。テレビ局の大半は共同通信の配信を受けており、原稿の催促もあったそうです。それでも各社は共同通信の記事を使わず確認に走っていた。弁護士事務所から間違いを指摘されても、共同通信は3時間以上も記事を出し続け、大丈夫なのかと感じた」

誤送信されたFAXの内容を確認しなかった、共同通信が悪いということだ。共同通信で司法記者クラブを担当したこともあるOBの記者はこう嘆く。
「訂正記事を見ました。『法務検察関係者に確認して書いた』ということを言いたかったのでしょうが、そこが間違っていたということは、共同通信のニュースソースはデタラメですと満天下に知らしめるようなもの。遠山氏の疑惑報道では、朝日新聞などが先行しており焦ったのでしょう。しかし、在宅起訴になりそうなことは、すでにどのメディアでも報じられていたこと。そこまで急ぐ必要はなかつた。誤報を配信したわけですから、加盟社からクレームが来て会社は大変な騒ぎだそうです。その対応も考えてあのような訂正になったのでしょうが、あれは訂正ではなく言い訳。みっともない。『きちんと裏付け取材をせずに記事にしました』と謝るべきだ」

ちなみに、司法記者クラブに遠山氏の弁護士が送信してきたFAXには、次のように記されていた。<本日、検察官から起訴手続きを行ったとの通知を受けました。このような事態に至りましたことを厳粛に受け止め、猛省するとともに、公職の身にあった者として国民の皆様には心よりお詫び申し上げます。今後、行われる公判につきましても誠実に対応してまいる所存です>さらに、手書きで【12月27日、遠山清彦】と署名まであった。

共同通信以上にお粗末な弁護士事務所の失態だが、これは、遠山容疑者側と検察の間で、事前に「贈収賄での逮捕」ではなく「貸金業法違反での在宅起訴」にするという約束があったことを意味するのではないだろうか。さらには、共同が言い訳の材料にした「在宅起訴の情報を法務検察関係者からも得た」という話は、検察との記者クラブ加盟社の「癒着」の証拠ともとれる。共同通信の誤報が、皮肉にも捜査機関と被疑者、捜査機関と記者クラブのよからぬ関係性を浮かび上がらせたと言えそうだ。

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