死者数比較で失政は明らか|吉村大阪府政の“お寒い”コロナ対策

「がらーんとしていて、療養者の激しいコロナの咳が響くくらいですね。それとけっこう寒いですよ」――そう話すのは、大阪府のある職員。何度も「寒い」と指摘した場所は、大阪市住之江区の国際展示場「インテック大阪」に開設された、「大阪コロナ大規模医療・療養センター」だ。

新型コロナウイルス感染の第5波を受けて、大阪府の吉村洋文知事が第6波対応策の目玉として運営費など84億円を費やして開設。無症状・軽症患者用800人、中等症患者用200人、合計1,000人分の病床が用意されている。その療養センターで、1月31日から無症状・軽症患者用、2月15日から中等症患者用の運用がはじまった。患者にとっては朗報かと思いきや……。

■お寒い「野戦病院」

「大阪府では大規模医療・療養センターについて、感染のひっ迫度合を数値で決めて準備してきた。開設決定から、実際に患者受け入れまで2週間ほどかかる。オミクロン株で急激に患者さんが増えたからといって、今日やりましょうといってもできないのです」(大阪府職員)

大阪府では1月末から、検査数の減る週末をのぞけば、新規感染者数は1万人の大台を連日超え、2月14日には軽症・中等症患者の病床使用率が114%とオーバーフローしていた。それでも、大規模医療・療養センターの中等症病棟は稼働していていなかった。

大阪府では2月22日には1日あたりの死者数が63人と今年、最高の数字を記録している。完全に医療が破綻している状況の中で、大規模医療・療養センターに人が押しかけているのかと思いきや、しかし、2月20日現在で、たった18人の利用者しかいない。運用開始から20日が経過しており、あまりにお粗末だ。

前出の大阪府職員は、「ホテルの宿泊療養の利用が25%前後の中、大規模医療・療養センターへは誘導しづらい」と話す。それは、大阪府が作成している、療養者への入所の際の「ご案内」を見ればよくわかる。

入所の際に持参するものとして、《衣類・パジャマ・下着類》とあり、《 温度調整可能なもの推奨》《セーター、タイツ、厚手の靴下等も忘れず 館内は寒いので着替えも持参 救急車で来る場合は外出用の服と下足も》――大阪府職員が言っているように、施設内の酷い寒さが伝ってくる記述である。吉村洋文大阪府知事が、大規模医療・療養センターのことを「野戦病院」と言っていたが、まさにその通りだ。

大阪府の別の資料には『大阪コロナ大規模医療・療養センターで勤務する医療従事者 約220人を運営事業者が確保』(*下の画像参照。赤い囲みはハンター編集部)と記されている。しかし、現在は20人にも満たず、医師は日中にたった一人だけ。看護師は10人超が3交代で勤務している状況なのだという。

だが、吉村知事は2月9日、岸田文雄首相とオンラインで会談。その後の記者会見で「国の支援内容ですけども、お医者さん、看護師さん、准看護師さん、薬剤師さん等を含めて総勢100人規模の応援をいただく。大規模医療・療養センターの200床についてもお医者さん、看護師さんの派遣をいただく」と述べている。要するに、「約220人を運営事業者が確保」は絵空事。大規模医療・療養センターで働く看護師などの求人情報は今もネットなどで掲載されおり、大阪府看護協会のホームページには『臨時医療施設開設に伴い職員を募集 随時面接を実施』とある。

人材が十分に集まらない中で、見切り発車で運用を開始させたのではないか?200床ある中等症用が30床しか使えないのは、看護師などの医療人材の不足が原因ではないのか?――そうした疑念が強まる現状だ。

■維新政治の象徴

2月18日の記者会見で吉村知事は、「メディアの皆様、(他の地域と)比較して大阪(の死者が)ワースト、ワーストという。比較するものではない」と不満げに述べた。しかし、大阪府の新型コロナウイルス関連資料には《各都道府県の新規陽性者数の動向》など、他の自治体と比較したデータが随所にみられる。吉村知事自身も記者会見で「東京と大阪を比較してどこまで、何でこれが違うのか」と大阪と東京のコロナ対策を比較して語っていた。

維新の会はこれまで、都合が悪くなるたびに他者を批判し、罵倒し、議論のすり替えを行ってきた。吉村知事も、都合の悪い事実が明るみに出ると、マスコミ批判などで矛先を変えることがしばしばだ。今回は「比較」が問題だとしているが、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令状況は、都道府県ごとの感染者数などを比較して出されているのが明らか。『比較するな』と言いながら、比較していたのは吉村知事自身なのだ。

コロナに感染して療養しなければならない府民を、「寒い」と認めている大規模医療・療養センターという「野戦病院」に収容することが根本的におかしい。全国で死者数ダントツの大阪府。コロナ対策の大失敗は、威勢のいい言葉だけが先行する維新政治の象徴といえるだろう。

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