看護学院パワハラ「金の問題じゃない」|北海道議会で教員処分の遅れ追及

問題発覚からまもなく1年になる北海道立高等看護学院のパワーハラスメント問題で、被害学生らに北海道からの損害賠償提案が届いた経緯が地元議会で追及され(下の写真)、教員の処分や謝罪に先んじて「お金の問題」を持ち出した北海道の姿勢に強い疑問が呈された。答弁に立った道は「教員を処分する方向で手続きを進めている」としつつ、その時期については明答を避け、また謝罪の方法もあきらかにしなかった。

◇  ◇  ◇

北海道議会保健福祉委員会でパワハラ問題が採り上げられたのは、2月24日午前。同問題で質問が上がるのは、昨年5月の同委員会から数えて11回目となる。この日は、これまで毎回質問を重ねてきた平出陽子委員(民主、函館市)が「(有権者から)お叱りを受けた」と明かし、道が2月中旬にハラスメント被害者へ一斉送付した賠償提案について苦言を呈した。
「『道は金でカタつける気なのか』って、お叱りの電話が来たんですよ。『まず教員を処分しなければ、パワハラは今後もなくならないよ』と。私もそれはもっともだと思うんです。穿った見方をしますと、道が最初に賠償を出したのは『これを呑むと謝罪できますよ、処分もしますよ、だからこの金額を呑んでください』と、そう考えたんじゃないか」

道保健福祉部の三瓶徹部長(下の写真、挙手している人物)はこれに「処分、謝罪、賠償、いずれも欠くことなく進めていく」とし、次のような答弁を返した。
「ハラスメントが確認された教員につきましては、関係法令に基づき処分する方向で手続きを進めているところであります」

明かされたのは、処分の手続きが進んでいる事実のみ。処分量定の目安や処分の時期などは明確にされず、文字通り「方向」だけが示された形だ。

続いて質問の手を挙げた真下紀子委員(共産、旭川市)は「処分は少なくとも年度内にはあきらかにされるべき」と釘を刺した上で、「謝罪についてはどのように考えているのか」と質した。
「長期にわたって複数の教職員がかかわる、組織的と言っていいようなパワハラが起きているにもかかわらず、なぜこんなに処分・謝罪まで時間がかかるのか。そこに不信があるわけです」

問いを受けた先の三瓶部長は「(謝罪については)弁護士を通じて道の考え方を示したところ」と述べるにとどめ、被害者らが求める「開かれた場での謝罪」を設ける意志の有無は明言しなかった。

この日の答弁で道は、これまでにも増して「被害者の皆さんに寄り添って」「誠意をもって」「丁寧に」などの言い回しを多用し、早期の対応に努める姿勢を強調したが、実際の被害者対応では賠償額の提示がなされたのみで、最も重要な当事者の処分や謝罪に関しては今回も具体的な動きがみられなかった。

委員会のやり取りに、保護者からは「(議員が)私たちの疑問を代弁してくれた」との声が上がったものの、同時に「道は綺麗なことばかり言っているが何も進んでいない」と憤る声もあり、被害者の1人は「学校に残っている加害教員が年度替わりで異動することに期待していたが、それもないらしいのでショックだ。勉強は自分で頑張ればなんとかなるが、実習でまたパワハラに遭うかもしれない」と大きく肩を落としている。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 

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