北海道警巡査部長が室内で実弾誤射|「あまりに杜撰」と猟友会関係者

5月24日夕、北海道警察の施設内で現職警察官が誤って実弾を発砲する事故があった。報道で事故を知った北海道猟友会の現役ハンターは「あまりに杜撰で、銃を扱う上での基本ができていない」と呆れている。

◇   ◇   ◇

道警によると、事故は24日午後4時20分過ぎ、札幌市厚別区の高速道路交通警察隊庁舎で発生。同庁舎2階の会議室で回転式拳銃の訓練中だった男性巡査部長(30歳代)が、銃に実弾が入っていることを確認せずに1発を発射したという。銃弾は会議室の内壁を貫通し、通路を挿んだ内壁に着弾。怪我人はいなかった。当事者の処分や事故の捜査状況などは現時点でわかっていないが、地元報道は巡査部長が射撃大会に向けて「空撃ち訓練」をしていたとの情報を伝えている。

有害鳥獣駆除などで実弾使用経験がある北海道猟友会砂川支部長の池上治男さん(73)は、報道で事故を知って「ただただ驚いた」という。
「まず、室内で実弾を装填すること自体があり得ません。われわれが猟に出る時も、有害獣を発見し『やるか』と決めてから初めて弾を込める。それまでは安全装置だって外しませんから。また、報道されていた『空撃ち訓練』が事実だとしたら、それも問題。猟銃と拳銃は違うのかもしれませんが、ハンターは決して『空撃ち』なんかしませんよ。そんなことをしたら銃が痛んでしまう。警察はあまりにも基本ができてないとしか思えません」

そう語る池上さんは4年前、地元自治体や警察の要請でヒグマを駆除した行為が銃刀法違反などに問われ、銃所持許可を取り消されている。道警や北海道公安委員会は、許可取り消しの理由を「建物のほうに向かって撃った」などとしていたが、本サイト既報の通り、これを不服とした池上さんが起こした裁判では道警の主張が覆され、裁判所が警察の「裁量権の逸脱」を指弾する結果となった。同裁判で実質勝訴判決を得た池上さんは、今回の誤射事故を受けて“身内への処分”がどうなるかに関心を寄せるところだ。
「民間のハンターには裁量権を濫用して理不尽なことを言ってくる一方で、自分たちは拳銃をオモチャのように扱っている。われわれが今回の巡査部長と同じような発砲をしたら、おそらく即、逮捕でしょう。当然、銃所持許可は取り消されるはず。道警は今、そうしない理由をいろいろ考えているところだと思いますが、果たしてどういう結論に落とし込むつもりなのか…」

池上さんの裁判では、敗訴した道警側が控訴を申し立て、誤った処分の取り消しが先送りとなった。控訴審の第1回口頭弁論は6月3日午後、札幌高等裁判所で行なわれることになっている。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 

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