鹿児島市内の公立小・中学校で起きたいじめの重大事態について議論を重ねてきた「鹿児島市いじめ問題等調査委員会」(以下、第三者委員会)が、令和元年(2019年)に鹿児島市立伊敷中学校で起きたいじめを、いじめ防止対策推進法が規定する「重大事態」に認定する方針を固めたことが分かった。同時期に発覚した「隠蔽されていたいじめ」は、伊敷中の件を含めて3件。他の2件は発覚後すぐに重大事態が認定されていたが、なぜか伊敷中のケースだけが、たな晒し状態になっていた。
事案の発覚から1年以上経っており、“いまさら”というのが実情。被害者側は今年2月、“市教委の動きが信頼できない”として第三者委員会による調査の辞退を申し出ており、今回「改めて調査させてもらいたい」とする第三者委員会からの打診も断ったとしている。
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伊敷中で問題のいじめが発生したのは令和元年5月。同校の2年生クラスで複数のクラスメートが、ひとりの生徒をターゲットにいじめを繰り返し、学校側が解決できなかったせいで被害生徒が転校を余儀なくされていた。
明らかに「いじめ防止対策推進法」が定める“いじめの重大事態”だったが、伊敷中は学校ごとに作成する「いじめの実態報告」の中で『いじめは解消』と報告。ハンターの調べで、いじめが継続していることを承知していた市教委も、学校側とグルになってこれを容認し、隠ぺいを図っていたことが分かっている。市教委の隠蔽は極めて悪質で、被害者家族が提出した『いじめが継続していることを示す文書』を、違法に廃棄した可能性もある。
いじめを訴えた生徒に、市教育界が救いの手を伸ばすことはなかった。いじめ発生当時の担任の女性教師は、被害生徒の親と会おうともせず責任放棄。元県教育次長の寺園伸二校長(当時)も「私に任せなさい」と大言壮語しながら、いじめが継続していることに抗議されると、「こっちは一生懸命やってるんだ」などと被害生徒の親に逆切れしていた。
ハンターが学校と市教委による隠蔽行為の全貌を報じたのが昨年5月。これが引き金となる形で、別の公立校の「重大事態」が次々と発覚する事態となり、それまで「0件」だったいじめの重大事態が、現在までに12件を数える異常な事態となっている。
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鹿児島市内の公立校で起きた“いじめ”を巡っては、伊敷中のいじめに次いで明らかとなった別の中学での暴行事件を「重大事態」として調査していた第三者委員会の報告書が、暴行の実態を矮小化する一方、事案の隠蔽を図った学校や市教委の責任を過少に見せかける内容だったことが判明。被害者側が「納得できない」として抗議したため、先月30日に予定されていた「答申」が延期されている。
いじめと真剣に向き合おうとしない鹿児島の教育界に、いじめの撲滅など不可能だ。