「国葬」「統一教会」で支持率急落|岸田政権を襲う安部絡みの諸問題

「いよいよドロ船のはじまりだ。安倍長期政権のツケが一気に降りかかってきた」――自民党の大臣経験者が、苦い表情でそう語る。

先週末から今週初め、報道各社が実施した世論調査の結果が相次いで発表された。

いずれの調査結果でも、岸田文雄政権の支持率は急降下。今年夏の参議院選挙に圧勝した時は「黄金の3年を手にした」とはしゃいだ岸田首相周辺だったが、永田町は一気に政局ムードとなりつつある。

■毎日の「29%」は危険水域

まず、世論調査の数字をチェックしてみる。左側が岸田政権の支持率、右側が国葬に対する意見の、8月と9月の調査結果だ。

岸田政権の支持率は急落。共同と日経は14%も下がっている。「政権寄り」とみられがちなフジの数字でさえも12%下落している。その要因の一つが今月27日に執り行われる安倍晋三元首相の「国葬」であることは言うまでもない。

どの世論調査でも、賛成に対し反対は約2倍。8月と9月を比べると、いずれの報道機関の数字も大幅にアップしているのが分かる。フジの調査では、反対とする人が25%も増えている。

政権を追い込んでいるもう一つの原因は、旧統一教会(現世界平和統一家庭連合)と自民党の関係だろう。毎日の「旧統一教会への岸田首相の対応」という調査では、「不十分」が76%、「十分」として人の14%を大きく上回る。共同の「自民党の旧統一教会への対応」という質問でも「不十分」が80%、「十分」は16%という結果になっている。

旧統一教会の問題は、7月の安倍晋三元首相銃撃事件で山上徹也容疑者が逮捕され、その動機について「教団への献金による家庭崩壊」を供述したことからクローズアップされた。

「国葬」と「旧統一教会」という大きな要因の二つとも、発端は安倍元首相ということになる。安倍氏が元気でキングメーカーとして振舞っていれば、どちらも浮上しなかった問題ということだ。岸田政権にとっては“想定外”のとばっちりだが、毎日の世論調査では、支持率が危険水域となる29%。テレ朝も30%台に落ちている。

時事通信は、信頼性が増す対面での調査を実施しているが、最新の数字で支持が32%、8月からみると12%ダウンした。報道各社の数字を平均すると、岸田政権の支持率は30%なかばあたりではないのかと推測できる。

■もう一つの難題「五輪疑惑」

だが政権は、支持率をさらに下げそうな難題を、もう一つ抱え込んでいる。東京オリンピック・パラリンピックの贈収賄事件だ。

最初に収賄側として逮捕されたのは組織委員会の元理事で電通元役員でもあった高橋治之容疑者。1回目の立件でAOKIホールディングス、2回目でKADOKAWAのそれぞれのトップが贈賄側として身柄をとられたが、途中から名前が浮上したのは「女性蔑視発言」で辞任を余儀なくされた組織委員会の元会長の森喜朗元首相。彼が、AOKIホールディングス前会長の青木拡憲被告から「お見舞い」として200万円をもらっていたことや、KADOKAWA側と会食を共にしていたことが報じられている。

出版関連のスポンサーとして大手の講談社も手を上げていたが、森氏が講談社発行の雑誌で何度も厳しい記事が書かれていることから同社を嫌い、「鶴の一声」で撤退させられたとされている。講談社の関係者は「あの条件でスポンサーになったら、不透明なカネを支払わねばならなかった。撤退というより、こちらからお断りだ」と話している。

東京地検特捜部は、広告大手の「大広」や駐車場大手の「パーク21」などにも捜査の網を広げ、森氏にも3度、事情聴取を行ったという。高橋容疑者の3回目の逮捕も確実視される状況となっており、関係者からは「残るターゲットは森氏ではないのか」という物騒な声が漏れてきている。

「もともと理事ではなかった高橋氏を森氏が強引に押し込んだ。それも電通がまだオリンピックのマーケティング専任代理店となる前から高橋氏を推薦し、正式な発表もない中、周りから諫められても聞かなかったと聞いている。推測だが、高橋氏が理事になれば、何らかの利益が得られると計算したからではないのか。例えばトヨタやパナソニック、コカ・コーラのように『ワールドワイド・パートナー』という最高ランクのスポンサーなら、何らかの形で森氏と会食することがあるかもしれない。だが、ランクで言えば、下位のAOKIやKADOKAWAになぜ森氏が関与するのか?不思議だし、そこが捜査の対象でもある」(捜査関係者)

安倍氏が長期政権を敷いていたころは、黒川弘務元東京高検検事長が「政権の犬」として、捜査が政府首脳に届かないように「差配」していると言われていた。だが、黒川氏が賭け麻雀で失脚して以降、特捜部は自民党の秋元司元内閣府副大臣(IR担当)や吉川貴盛元農相など「バッジ」を次々に立件している。「森氏とて安全圏ではない」との声が永田町から聞こえてくるのは、検察が威信を取り戻しつつある証なのかもしれない。

「失言王」の森氏が、組織委員会の会長になれたのも安倍氏の力が背景にあった。そうなると、岸田政権はもう一つ、安倍氏絡みの課題を抱えることになる。

「森氏の疑惑に特捜部が立件となれば、もう岸田政権はもたない。解散総選挙は、統一教会問題に収拾のメドがつかない限り無理だ。選挙をやればぼろ負け、政権交代もあり得る。そうなれば、岸田首相に残された道は首相退陣、自民党の内輪で新首相を決めるしかない。これまで、安倍元首相や安倍派のバックアップで政局を乗り切ってきた岸田首相。安倍氏亡き後、ご機嫌取りで決めた国葬が大誤算、さらには旧統一教会に五輪疑惑――。報道各社の調査で支持率が20%台に揃うような事態となれば、いつ岸田おろしの風が吹き荒れてもおかしくない。どうやら終わりが見えてきた」(前出・自民党の大臣経験者)

安倍氏がキングメーカーとなった岸田政権は、安倍氏の退場によって閉じる運命か。

 

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