裁判所不祥事、昨年1年間で16件|裁判官の処分は全面墨塗りで開示

全国の裁判所で記録された不祥事が昨年1年間で計16件に上ることがわかった。筆者の開示請求により一部開示された文書には職員の勤務懈怠やわいせつ行為などが記録されていたが、裁判官が起こしたとみられる不祥事については全面墨塗りで開示され、処分量定を含む事案の概要が一切わからなくなっていた。各処分の発表の有無がわかる記録については「廃棄済み」とされ、情報公開の適正性が検証できない結果となった。

◇   ◇   ◇

本年9月21日付で最高裁が一部開示を決定したのは、懲戒処分を受けた職員に交付される『処分説明書』や、懲戒に到らない「人事上の措置」に伴って作成される『決裁票』などの公文書(司法行政文書)計35枚。筆者は本年1月4日付で最高裁に開示請求(司法行政文書開示申出)を行ない、全国の裁判所の昨年1年間の処分・措置がわかる文書の写しを求めたが、同事務総局は「文書の精査に時間を要する」として2月7日付、4月7日付、6月7日付、及び8月8日付の計4回にわたって決定を延長、最終的に一部開示決定が通知された時点で請求から9カ月半が過ぎていた。

開示文書を確認したところ、昨年1年間の懲戒処分は12件、懲戒に到らない人事上の措置は4件あったことがわかった。各件の概要を以下に示しておく(左から「処分日」「処分内容」「当事者の所属」「官職」「事案概要」)。

【懲戒処分】

1.――  ―― 福岡高裁 ―― ――

2.1月25日 免職 さいたま地裁 書記官 無断欠勤

3.4月9日 停職1月 名古屋地裁 書記官 不適切事務

4.―― ―― 那覇地裁 ―― ――

5.5月28日 減給6月 東京簡裁 事務官 無断欠勤

6.6月28日 停職1年 長野地裁 書記官 わいせつ行為

7.―― ―― 盛岡地裁  ―― ――

8.11月15日 停職1月 東京地裁 書記官 無断欠勤

9.―― ―― 岡山家裁 ―― ――

10.―― ―― 富山家裁 ―― ――

11.12月22日 戒告 盛岡地裁 事務官 不適切事務

12.―― ―― 大阪高裁 ―― ――

上のように、懲戒処分は12件中6件が処分日や当事者の官職を含めて事案の内容が一切開示されず、かろうじて所属庁がわかるのみとなっている。残る6件で被処分者が「書記官」「事務官」などとなっていることから、伏せられた6件は裁判官による不祥事だった可能性が高い。懲戒よりも軽微な人事上の措置に至っては4件すべての概要が不明で、当事者の所属庁も開示されなかった。

請求から開示まで9カ月以上の時間を要し、開示された情報は16件中10件が事実上全面不開示。これが「開かれた裁判所」の情報開示のあり方として適切といえるかどうかは、読者の評価に委ねたい。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。
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