新型コロナウイルス感染者の療養施設で、女性スタッフに対し強制性交の疑いが持たれる行為に及んでいた鹿児島県医師会(池田琢哉会長)の男性職員が、10月末に退職していたことが分かった。
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医師会の男性職員が起こしたわいせつ事件を巡っては、先月27日に医師会から塩田康一知事に提出された調査報告書や同日に開かれた医師会の記者会見で、同会顧問の新倉哲朗弁護士(和田久法律事務所)が、刑事事件として捜査中の事案であることを無視して「合意に基づく性行為だった」と断定。その上で、「一定の社会的な制裁を受けた」として「情状酌量の上、停職3か月の懲戒処分」(報告書の記述)という軽い処分にしたことを公表していた。
これに対し鹿児島県は10月5日、医師会に対し、文書による厳重注意とは別に口頭で、「具体的な調査においても、関係者からの聞き取りをする前から「複数回あった」、「強制であったかどうか」との発言があるなど予断を持って調査が進められた」、「調査の進め方に問題があった」、「当該職員がマスコミ報道等によって一定の社会的な制裁を受けたとしているが、職員の実名が報道されたことはなく、何をもって一定の社会的な制裁を受けたものと言えるのか、疑問である」などと厳しく糾弾。この問題についての医師会の調査結果と調査過程、さらには男性職員への処分内容に事実上の“不同意”を表明していたことが明らかとなっていた(既報)。
一連の対応を否定された県医師会上層部は、そうした経緯を県民はもとより組織内の会員にも一切報告せず沈黙。男性職員は、停職期間(3カ月)の満了を待たずに10月末をもって退職していた。
一体何があったのか――?周辺を取材したところ、事件を起こした男性職員の復職に、医師会内部から反発が噴出。多くの職員が職場復帰に反対する意思表示をしたため、組織内で男性職員の辞任を模索する動きが出ていたという。
突然の退職を知った医師会関係者は、こう話している。
「退職?ほんとかね。何も聞いていない。そもそも、先日のハンターの記事にあった県からの厳しい指摘についても、報道されるまで誰も知らなかったわけだから。うがった見方かもしれないが、池田会長が言いふらした『合意があった』を既成事実化させた上で、因果を含めて退職させるというシナリオがあったのかもしれない。ただ、医師会職員の間から、特に女性職員からだが、問題を起こした男性職員の職場復帰に反対する声が出ていたのは確かで、嘆願書が提出されたという話があったほどだ。先月の20日過ぎくらいにハンターが配信した記事も影響したのかもしれない。いずれにせよ、裏で何があったのか、しっかりと検証したほうがいい」
「情状酌量の上、停職3か月の懲戒処分」で済んだ男性職員が、なぜ医師会を辞めなければならなかったのか――。疑問を抱いたハンターが追跡取材でつかんだ答えは、わいせつ事件に関する県医師会の調査結果を根底から覆しかねない、とんでもない「事実」だった。詳細は次週からの配信記事で詳しく報じていく。