先月、福岡県田川市の池口芳幸前環境政策課長(現・「市立病院総務課長」)と勢嶋伴睦前市民生活部長(当時。現・建設経済部長)が、公式には「口頭で命令したため不存在」とした『出張命令書』を後付けで作成していたことを報じた(既報1、既報2)。作成したのは池口氏と勢島氏。その後の市への情報公開請求で、二人の公文書偽造を決定付ける証拠を入手した。
■開示された非開示決定時の決裁文書
不透明なごみ処理施設整備事業に関する情報公開請求を巡って永原譲二大任町長が村上卓哉田川市長に圧力をかけた問題を取材していたハンターは、今年7月、勢嶋部長に、町長に内部情報を漏らした池口氏への出張命令が出ていたかどうかを確認した。
勢嶋氏は「口頭による命令、復命だった」と回答。池口氏と勢嶋氏が永原町長と接触していたとみられる本年6月1日から7月10日までの間の出張命令の開示請求に対して田川市は、下の「情報非開示決定通知書」を発出し、不存在の理由を「命令及び復命は口頭で行っていた」と明記していた。(*下、参照)
非開示決定を発出する直前、勢嶋氏が日付を遡って出張命令書を作成することを画策。担当部門が「公文書偽造」だとして反対したため、「口頭での出張命令」という子供だましの逃げ道を選らばざるを得なかったことが分かっている。
その直後、同じ内容の開示請求はないと考えたのか、勢嶋氏と池口氏は旅行命令書の偽造に走る。現物が下の画像。違法性が問われる事態であることは言うまでもない。
では、ハンターの記者が求めた初回の開示請求に対して「口頭での命令」を理由に非開示決定を下した時の決裁は、どのようなものだったのか?ハンターは、改めて7月24日付「情報非開示決定通知書」を作成した際の決裁文書を開示請求していた。開示されたのが下の文書である。
決裁文書は、市民生活部環境政策課が起案、総務部総務課が「合議」し、それぞれの職員が捺印していた。市の関係組織が、「命令及び復命は口頭で行っていた」という非開示理由を正式に確認し合った結果だ。池口氏と勢嶋氏は、この決裁を済ませ、ハンターの記者に「情報非開示決定通知書」を発出したあと、問題の偽造命令書を作っていた。後出しの公文書偽造ならバレないと考えたのだろうが、甘かった。
市の総務課は旅行命令書が偽造されていたことを「知らなかった」と明言しており、公文書偽造・同行使は明らか。事情を知った市民団体が、刑事告発を模索する動きをみせている。
池口課長を巡っては、ごみ収集運搬業者の業者選定プロポーザルで不正な点数操作を行い、ゴルフ仲間である特定業者などに事実上の便宜供与を行っていた疑いが持たれている。