一昨年からハンターが指摘してきた「田川市一般廃棄物(ごみ)収集運搬業務委託 業者選定プロポーザル」を巡る“不正”の証拠が、4月の統一地方選で初当選した村上卓哉市長の判断によって、ようやく開示された。
開示されたのは、二場公人前市長が非開示とし、疑惑を解明するため設置された百条委員会にも提出されなかった審査員個々のプロポーザル評価表(個票)と審査委員のポストが分かる文書(*下の画像参照)。それによって、これまで本サイトで報じてきた記事の内容が事実であったことが証明される形となった。
■業者の友達が審査委員
審査委員のポストが記されていたのは、「プロポーザル方式等実施調書」と題する内部文書。A、B、C 三つの工区のプロポーザルの実施方法を定めた項目の一つに「審査委員」の欄があり、5人の委員のポストが記されていた。この中に、ハンターがA及びB工区の選定1位業者「早雲商事」との癒着を疑ってきた『環境対策課長』(現・環境政策課長)のポスト名がある。プロポーザル実施の時から現在までこのポストにあるのは池口芳幸課長である。
池口課長は昨年1月30日、田川郡内のゴルフ場で開かれた選定1位業者「早雲商事」のゴルフコンペに参加。プレーのあとの2次会にまで参加していたことが、複数の関係者の証言から明らかになっていた。
早雲商事は、環境対策課が所管する産業廃棄物の収集・運搬を手掛ける業者。同社は問題のプロポーザルでA、B両工区の一位に選ばれながら、なぜかA工区を辞退。昨年4月からB工区の実務だけを行っている。
同社との関係で疑念を招いた池口課長は昨年3月、ハンターの取材に対し、ゴルフコンペの会場となった田川郡内にあるゴルフ場を予約したことを認めたが、コンペ当日のことについては「行ってない」と頑なに参加を否定。自身の会員権を使ってゴルフ場の予約をしたことについては、利害関係者である早雲商事代表と「友達だから」と開き直っていた。
「友達」の会社が応募してきたプロポーザルで、審査委員になっていたというのだから、その時点で業者選定の「公平・公正」が失われていたのは確か。「官業癒着」の典型的なケースで、地方公務員法の『信用失墜行為の禁止』—「職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない」(33条)に抵触する可能性がある。
■選挙違反で懲戒処分
池口課長は公務員としての自覚を著しく欠いているようで、田川市長選の投開票日となった4月23日、50人以上の同窓生が参加するグループラインに3選を目指しながら落選した二場公人氏への投票を呼び掛けるメッセージを投稿(*下の画像)。地方公務員法と公職選挙法に抵触する可能性があることをハンターが報じたことで(既報)、今月14日に戒告の懲戒処分を受けている。
■明らかに不自然な評価
業者の「友達」が審査委員を務めたことで、プロポーザルの結果が歪められたのではないか――こうした疑念が生じるのは当然だろう。ハンターは学者や専門業者の協力を仰ぎ、村上市政になって改めて開示されたプロポーザル評価表(個票)と、すべてのプロポーザル参加業者が提出した「業務提案書」を照らし合わせる形で検証に着手。作業は半分ほど進んでいるが、すでに素人目でも分かるほど不自然な評価が行われていたことが分かっている。