【速報】看護学院パワハラ事件で北海道庁が開示請求受付日を捏造

多くの自治体に情報公開請求を行ってきたが、ここまで酷い恣意的な制度運用は見たことも聞いたこともない。北海道庁による、明確な情報公開条例違反である。

ハンターが行った「道立江差高等看護学院」のパワハラ事案に関する開示請求を受けた北海道庁が、「受付日」を大幅に遅らせるという前代未聞の対応で開示決定期間の起点日を捏造。そのせいで、通常なら開示決定まで14日間のところが、倍の30日近くかかる形となった。医療行政を揺るがす事件の真相を、道庁が組織ぐるみで隠そうとしている証左に他ならない。

■前代未聞の「受付日」捏造

道立江差高等看護学院で起きている教員らによる集団パワハラの告発を受けたハンターは先月29日(月)、北海道庁に対し、同校の学生や学生の家族などから寄せられたパワハラについての告発、苦情、相談についての記録と道庁側の対応が分かる文書の開示請求を行った。
(*下が請求書の電子データ)

請求を受けた道庁はその直後、あろうことか加害者側である江差高等看護学院に請求内容や記者の氏名、電話番号といった情報を通知。明らかな守秘義務違反だったため、ハンターの記者が情報公開の窓口である文書課行政情報センターに猛抗議したが謝罪も説明もなく、学院を所管する保健福祉部からも何の連絡もないままとなっていた。
(*参照記事⇒「道立校パワハラの開示請求で北海道庁が守秘義務違反|加害者側に情報伝える」)

放置された状態になっていたことから、開示請求が担当課に届いているのかどうか確認したのが今月14日。その際、折り返しで連絡してきた医務薬務課看護政策係の職員は、「請求は届いております」とした上で、「いま、文書の特定を行っているところです」と明言していた。

ところが、16日になって郵送されてきたのは、当然来るはずの開示・不開示の通知ではなかった。下が、送られてきた2枚の文書である(画像クリックで拡大)。

驚いたことに、送られてきたのは「決定通知書」ではなく、ただの受付確認。しかも、これまで見たことも聞いたこともない“受付日の捏造”が行われていた。

■条例違反の証明

道の情報公開条例では開示決定までの期間を次のように規定している。

《実施機関は、開示請求があったときは、その翌日から起算して14日以内に、公文書の開示をするかどうかの決定をしなければならない》

ハンターの開示請求日は3月29日だったことから起算日は3月30日となるはずだ。従って開示決定は、そこから14日後の4月12日までに行うのが決まり。しかし、送られてきた2枚の文書では、なぜか「受付年月日」が「令和3年4月13日」になっている。あり得ない話だ。

条例上の開示決定期限である4月12日を超えての「受付」などあるはずがない。やむを得ない理由で決定期限そのものを延ばすことは可能だが、その点について条例は、こう定めている。

その翌日から起算して14日以内に開示等の決定をすることができないときは、その期間を14日を限度として延長することができる》。この場合の「その翌日」が「受付日の翌日」であることは言うまでもない。

証拠も残っている。道に対する開示請求は電子申請システムを利用しており、申請後にはきちんと受付たことを示す「申請受け付け」のメールが送られてくるからだ(下の画面参照)。受付は「2021年03月29日 12時42分」「受付番号3610394」と記されている。

ハンターに対する道庁の行為は、条例の規定にある「開示決定期限の延長」ではなく条例のどこにも規定されていない「受付日の捏造」、つまり条例違反の運用に他ならない

そもそも、役所の勝手な都合で受付日を決めていたら、「14日間」という条例が定めた決定期限が意味をなさなくなる。役所が「受付」を認めなければ、1カ月でも1年でも開示決定期限の基準日が先延ばしにできるからだ。重ねて述べるが、そうしたことがまかり通れば、開示期限をさだめた条例の趣旨が、否定されることになる。

念のため、北海道が定めた情報公開条例の前文を紹介しておきたい。

道が保有する情報は、道民の共有の財産であり、これを広く公開することは、民主主義の原理及び地方自治の本旨に由来する開かれた道政を推進していくために不可欠である。道は、これまで、公文書の開示制度を導入し、情報の公開に努めてきた。しかし、近年、地方分権の推進など道政を取り巻く環境が大きく変化し、道民による行政参加と監視の観点から、情報の公開の重要性がますます高まっており、公文書の開示制度に加えて情報提供の積極的な推進など情報公開制度全般にわたる一層の整備、充実が求められている。新しい情報公開制度は、だれもが知りたいときに自由に知り得るよう知る権利を明らかにするとともに、道政の諸活動について説明する責任を全うすることにより、その公開性を高め、及び道民参加を促進するものでなければならない。このような考え方に立って、道政に対する理解と信頼を深め公正で民主的な道政を確立するため、この条例を制定する。

その上で条例は、《実施機関は、公文書の開示その他の事務を迅速に処理する等この条例に定める情報公開制度の利用者の利便に配慮をしなければならない(第3条2)と規定している。だが道庁では、“利用者の利便”ではなく“役人の利便”が優先されているのが現実だ。

■パワハラ事件の矮小化や隠蔽は許されない

 恣意的な運用による明らかな条例違反である!――道側に抗議したところ、文書課行政情報センターも医務薬務課も、異口同音に「文書の特定に時間がかかった」と平気で言う。ネットメディアの抗議は、無視しても構わないという姿勢だ。

前述した通り、文書の特定をするために14日間の開示決定期限が設けられているわけで、文書量が大量であるなどのやむを得ない事情がある場合には、条例に定められた日数だけ開示決定期限の延長を行うという手続きを取ることが可能だ。その手順を熟知しているはずの道側が、役所とは思えない理不尽な行為に走った理由は、実は条例を理解していないか、あるいは意図的に情報開示を遅らせたかのどちらかがということになる。どちらであるにせよ、条例違反は動かし難い。

江差高等看護学院の教員による集団パワハラは、今に始まったわけではなく、十数年前から続いてきたものであることが、同校の卒業生や医療関係者の証言から明らかになっている。何人もの被害者が道庁の担当課に窮状を訴えてきたが、その度に道庁は訴えそのものを握りつぶしてきたという。パワハラの実行者と道庁の担当者は、共犯関係にあったと断ぜざるを得ない。

ハンターの情報公開請求に対するたび重なる妨害行為は、パワハラ事件を矮小化し、犯罪者を守ろうとする歪んだ道庁の姿勢の表れだろう。だが、守られるべきは、看護の道を志してくれた生徒たちであり、腐った教員や小役人たちではない。

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