25日、徳島市議会6月定例会閉会後、公約と大きく食い違う行動を連発する内藤佐和子徳島市長の解職を求め、市民グループ「徳島の未来を守る会」(以下、守る会)が市役所内で会見を行った。史上最年少女性市長の就任からわずか2か月で、リコール(解職請求)の声が上がる異常事態だ。
■対話を拒否する市長 機能不全の市議会
市長が唐突に発表した保育施設整備事業の見直しに、子育て世代を中心とする市民らが猛反発。方針撤回を求めて多くの市民が声を上げたが、市長は態度を変えず、市議会は機能しないまま閉会した。国からゴーサインが出た子育て支援事業は、白紙になった状態だ。
これを受けて守る会は25日、内藤市長が「2重の公約違反」を犯したとして、リコール(解職請求)が可能となる来年4月に向け市政勉強会や呼びかけ運動を始めることを会見で表明した(下が会見の様子)。
「期待して投票したのに、裏切られた気持ち」――未来を担うこどもたちを思い、内藤氏に票を投じた有権者の声だ。「子育て環境の充実」「対話重視」を掲げ、今年4月に当選した内藤新市長。全国史上最年少の女性市長として一躍注目を集めることになった彼女が、待機児童解消のため市内に児童500名分の受け皿を作るという計画を潰した。変節した理由は判然としない。説明を求める市民らは対話を求めたが、市長は公務を理由に応じなかった。
会見に臨んだある男性(40代)は、「署名活動を通じて、多くの子育て世代から『このままでは徳島市が駄目になる』という声をもらった。この活動を続けることで、市政が良くなるなら意義は大きい」と話す。
当面の活動について、守る会は来年4月を目途にリコールに向けた署名を集める受任者を1万名募集。リコールが可能となる約1年後、本番の活動を開始し、賛同者10万筆の署名を集めたいとしている。
市内の有権者数は21万3,342人(6月1日現在)。リコール実現に必要なのは有権者の3分の1の署名であることから、約7万1,000筆の有効署名が必要となる。集まった署名簿を市選挙管理委員会に提出すれば、60日以内に解職に賛成か反対かの住民投票が実施される。解職に賛成する投票が過半数を占めれば、市長が失職し、50日以内に市長選挙が行われることになる。
会見に同席した別の男性(20代)は、「公約を信じて内藤さんに票を投じたのに、今は失望しかない。3月に事業に賛同した議員が、今回は市長の見直しに同調していた。議会への不信感もつのった」と肩を落とす。
この日、内藤市長の事業見直し方針に対し、一部の議員から予算の即時執行を求める議案が提出されたが、賛成11に対し、反対17で否決された。
事業に賛成した市議会議員の一人は、こう憤る。「何人もの市長と関わってきたが、今はまさに異常。就任2か月でリコールの話が出ること自体、市として恥ずべき事態だ」