昨年7月に札幌市で起きた首相演説ヤジ排除問題で26日午後、検察がまた北海道警察による不当な排除行為にお墨つきを与える決定を出した。
参院選の与党系候補の応援演説をする安倍晋三首相に向かって「増税反対」などと叫び、複数の警察官に、取り囲まれたり長時間にわたって付きまとわれたりした女性(24)が現場の警察官らを特別公務員暴行陵虐などで刑事告訴していた件で、地元の札幌地検が同日までに不起訴処分を決定した。
処分の理由は「罪とならず」。不起訴事件で多くみられる「起訴猶予」や「証拠不十分」などとは異なり、警察官の行為が真っ白な形で不問に付されたことになる。しかし排除行為やつきまといがあった事実は複数の画像・映像で裏づけられており、今回の決定は当事者にとっておよそ承服しがたいものとなった。
被害を訴えた女性は「警察のあの行為が許されるなら、民主主義は守られない。(検察には)守る気がないと判断せざるを得ない。予想はしていたが、許しがたい」と強い憤りを示しており、近く「付審判請求」や「検察審査会申立」に臨む考えを固めている。
(小笠原淳)
【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】 ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。 北方ジャーナル→こちらから |