自民VS公明に新たな火種|内閣改造で注目される「国交相」ポスト

木原誠二官房副長官の疑惑、Xデー目前の秋本真利衆議院議員の贈収賄事件、観光旅行としか思えない自民党女性局のフランス研修など、三つものスキャンダルが重なる岸田文雄政権。岸田首相は9月中に内閣改造、党役員人事に着手する意向を固めている。

支持率が凋落傾向の中、解散総選挙を先延ばししている岸田首相にとって内閣改造と党役員人事は政権浮揚の切り札。現在の内閣の目玉であったはずの高市早苗経済安全保障担当相は総務相時代の公文書問題や奈良知事選対応で、河野太郎デジタル相はマイナンバーカードを巡る不適切な対応でそれぞれ評価を下げており、再任はありえない状況だ。いま注目されているのは、幹事長人事と国土交通大臣のポストである。

◇   ◇   ◇

党役員人事では、茂木敏充幹事長の処遇が最大の焦点。ある自民党の幹部がこう解説する。
「保守派に支持が厚い高市さんと若い層からの受けがいい河野さんがいなくなれば、支持率への影響大だ。注目の幹事長は、茂木(敏充)さんに『外相をもう一度』という希望があるとも言われており、交代の可能性もある。代わりに林芳正外相を党三役にという案が浮上している」

だが、前述した「トリプルスキャンダル」を打ち消せるようなカードはどこにもない。そこで囁かれているのが、これまで連立政権を組む公明党の指定席だった国土交通大臣ポストの奪還を狙うという話だ。

自民党と公明党の連立が成立したのは2003年。公明党は、09年から民主党政権となった3年間を除いて約17年間、必ず閣僚ポストを1つ確保してきた。うち15年間、占め続けてきたのが国交相のポストである。

前出の自民党幹部は「国交大臣のポストを公明党から奪い返して、新鮮味を打ち出そうという狙いがある。そもそも、長く自民党から国交省の大臣が出ていないというのも問題だ」と強気だ。

じつは、国交相候補としてあがっているのが小泉進次郎衆議院議員。菅義偉前首相時代に環境相として初入閣した小泉氏だが、話題先行とキャリアのなさを露呈しただけで、実績をあげることはできなかった。人気先行で実力不足だったことは明らかで、その後、国民の評価も急落した。

国交省は道路整備をはじめとする大きな公共事業を抱えており「利権の巣」とも呼ばれる。しかし、「贈収賄などの事件は意外と少なくもて、事故対応の失敗や不適切な天下りなどがバレない限り、無風」(公明党の国会議員)とみられており、懸案事項も比較的少ないとされる。

秋本衆議院議員の事件は国交政務官時代のものだが、5年以上も前のこと。国交省の現職官僚3人に聞くと、いずれも「かなり前のことで、国交省に追及があっても『関係ない』と逃げ切れる」と本音も漏らす。

かつてほどではないにしろ、世論調査の「次の首相」という項目では、いまだに上位にランクされる小泉氏。知名度抜群の彼を国交相に充て、公明党からの「ポスト奪還」を目玉にしたいという思惑が岸田政権にあるという。だが、公明党には、国交相のポストをどうしても手放せない事情がある。公明党の国会議員が、次のように打ち明ける。
「地方からの要望や陳情がいちばん多い役所が国交省です。これまで公明党が得たポストとしては、厚労相、環境相という時代もあった。しかし厚労相はマイナンバー、環境相は原発と、難題を抱えていることもあり遠慮したい。そうした難題を作ったのは自民党なんですから、責任を持ってもらわないといけない。永田町では、“国交省関連のお願いは公明党”と定番化している。陳情に耳を傾け、なにかしら実現できれば票になるのです、党勢にかげりが見える中、手放すわけにはいきません」

7月に記者会見した国交相経験者でもある公明党の北側一雄副代表は、「公明党にとってふさわしいポストだ」と自民党をけん制している。

「公明党は平和を全面に出しているので、防衛相や安全保障担当相などは絶対に無理。国交相に匹敵するポストと言えば農水相だが、自民党が絶対に手放せない。地方の農林水産関連の票田が自民党の命運を握っていると言っていい。デジタル相、復興相なんてなれば、公明党は烈火のごとく怒るだろう。文科省は旧統一教会の解散命令問題を抱え、創価学会がバックの公明党にとってはありえない話。厚労相はマイナンバーがあるから、これも公明党に押し付けるわけにはいかない。環境相あたりで妥協してもらえないかという声が、官邸ではあがっている」(岸田派議員の話)

自民党の中からは、国交相に「重鎮」クラスを据えて、公明党には別のポストに移ってもらおうという動きもあるらしく、公明党と良好な関係にあり人望の厚い森山裕選対委員長や林幹雄衆院議員の名前などがあがっているという。自民党が国交相ポストを「奪還」するとなれば、公明党との溝が深くなるのは必定。遠くない解散総選挙を前に、国交相の椅子を巡る「暗闘」が続きそうだ。

 

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