日本維新の会「企業・団体献金禁止」の欺瞞

日本維新の会は10月29日、常任役員会で企業・団体献金禁止を盛り込む党規約の改正に着手することを決めた。来年3月の党大会で正式決定となる見込みだ。「身を切る改革」がキャッチフレーズの同党、しかし、この売り文句はまったくのデタラメである。

■問題視される馬場代表側への寄附

維新所属の池下卓衆議院議員は、大阪府高槻市議2人を公設秘書として兼職させがら、必要な「兼職届」を出をしていなかった。2人は兼職中、秘書給与と議員報酬という税金から支出される公金を二重取りしていたことが分かっている。

10月には、地元の自治会費770万円を私的に流用したとして、奈良県斑鳩町の大森恒太朗町議(事件発覚後に辞職)が業務上横領の疑いで逮捕されている。同容疑者は「ギャンブルなどですべて使い果たしてしまったと全面的に認めている」(捜査関係者)という。維新の「政治とカネ」の現状は、身を切る改革とは正反対なのだ。

そもそも、「身を切る改革」とやらの先頭に立つ馬場伸幸代表の姿勢に大きな問題がある。今年6月、自身の選挙区内にある大阪府堺市で保育園などを運営する社会福祉法人「ドレミ福祉会」の理事長に就任したのだが、これが「乗っ取り」と報じられたのは記憶に新しい。

改めて馬場代表の政治資金収支報告書をチェックしたところ、疑問視される献金が明らかになった。

馬場氏の政党支部「日本維新の会衆議院大阪府第17選挙区支部」が大阪府選挙管理委員会に提出した2021年分政治資金収支報告書には、姫路市議会議員・松岡広幸氏から30万円の寄附を受領したことが記載されている(*下、参照)

この事実を知った姫路市の幹部が、「よくも松岡のような市議からカネをもらいますね。信じがたい」と、吐き捨てるように話す。

松岡氏は、2019年5月、姫路市が進めていた市場移転事業と公園整備について業者の資料を「閲覧させろ」と迫った上で、自身が勧める遊具を導入するよう要求。その過程で、副市長や職員に「ちゃんとしてくれへんかったら、わし自信持って止める」、「本会議でつるし上げる」、「中止できないなら国に行き補助金を止める」、「気をつけてもの言えよ」などと発言し、姫路市は市の業務を妨害したとして威力業務妨害の疑いで刑事告訴する事態に発展した。

姫路市議会は、松岡氏に対して辞職勧告を2度決議。百条委員会も設置され、松岡氏は「暴言」を認め、最終報告書では「不当要求行為」だと認定されていた。前出の姫路市幹部がこう話す。
「松岡議員は、札付きのワルと言っても過言じゃない。恐ろしいので他の市議ですら近づこうとしません。松岡議員は今年春の選挙で当選しましたが、馬場代表に近づくことで、姫路市でも勢力を築きつつある維新に入り込もうとした――そんな噂も流れていました」

松岡氏への刑事告訴は不起訴となったが、検察審査会は「不起訴不当」と議決。検察は再捜査を余儀なくされた。松岡氏は市議。当然、税金から議員報酬を得ている。馬場代表側への寄附の原資は、税金である可能性があるということだ。

◆   ◆   ◆

馬場氏の「日本維新の会衆議院大阪府第17選挙区支部」への寄附については、もう1件、問題視されるものがある。2021年に、会社経営者の矢部嘉宏氏が250万円を2回、合計で500万円を寄附している。

2020年にも120万円寄附していたのだが、矢部氏は大阪市内で会社を経営し、複数のラブホテルを所有していることで知られている人物だ。以下に、2009年2月23日の東京新聞の記事を引用する。

偽装ラブホテル営業で社長逮捕 兵庫県警、風営法違反容疑(東京新聞)

一般のホテルとして営業許可を受けながら、実態は「偽装ラブホテル」を営業したとして、兵庫県警生活環境課は23日、風営法違反(禁止地域営業)の疑いで、大阪市旭区のホテル経営会社「ブレイントレジャー」社長矢部嘉宏容疑者(42)を逮捕した。

県警によると、偽装ラブホテル経営で逮捕するのは極めて異例。「複数のホテル経営に関与した疑いがあり悪質」としている。

その後、矢部氏は起訴され有罪判決を受けている。

矢部氏は、中山正暉元郵政相の秘書を務め、息子の泰秀元衆議院議員にも多額の寄附を行っていた。ある維新の地方議員が、次のように話す。
「矢部氏は、泰秀が落選中なので後ろ盾がほしかった。郵政大臣元秘書の肩書を生かして馬場代表に食い込もうとしたようです。馬場代表は元郵政相の兄、中山太郎元外相の秘書だった経験があるので、ハードルが低いとみたのでしょう。矢部氏は今もラブホテルの経営者ですから、大丈夫なのかと馬場代表の周囲はハラハラですよ。まあ、1年間で500万円も寄附をくれたので、切るに切れないのかもしれません」

警察沙汰になるような危ない人物から、高額の寄附を受け取って平然としている馬場代表。企業・団体献金の受け取りを拒否したとしても、それが「身を切る改革」にはまったくつながらないことを馬場代表自ら証明している。

■吉村府知事は企業から政治資金

「企業・団体献金の禁止」を打ち出した日本維新の会だが、同党の共同代表である吉村洋文大阪府知事は、企業から堂々と政治資金をもらっていた。吉村知事の政治団体「友洋会」は2019年、大阪市長就任3周年記念パーティーで、企業6社から合計270万円のパーティー券を買ってもらっていた。

企業団体献金を禁止しても、パーティー券などで偽装して受け取る“抜け穴”があることを如実に示している。

「トップの2人が、やばそうなカネをもらっているのですから、掛け声倒れになるんじゃないかとの声しきりです」と維新の国会議員はこっそり耳打ちしてくれた。万博の不評で支持が離れつつある維新。格好つけ、解散総選挙への口だけの、人気とりはやめるべきではないか?

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