鈴木直道北海道知事、江差看護学院パワハラ死に不誠実対応|父母会要請にも無反応

北海道立江差高等看護学院の在学生が教員によるパワーハラスメントを苦に自殺した問題で、被害学生の保護者らでつくる「父母の会」が自殺とハラスメントとの因果関係を認めるよう道に要請したことについて、昨年最後の定例記者会見で質問を受けた鈴木直道知事は「引き続き道と遺族双方の協議が必要」と述べ、問題解決を新年以降へ持ち越した。道政トップの不誠実な態度に、旧年内に結論を得られなかった遺族は「いつまでこのやりとりが続くのか」と、改めて不安な思いに沈んでいる。

◇   ◇   ◇

江差の問題で質疑応答があったのは、12月27日午後の道知事定例会見。父母の会の要請をどう受け止めるか問われた鈴木知事は、担当者から報告を受けたことを明かした上で、賠償交渉の最終的な判断の時期について次のように述べた。

「現時点で何か時期が明確に定まっている状況ではございませんので、引き続き協議が必要な状況でございます。代理人弁護士の見解、そして遺族側のご意向もお伺いしながら、協議経過をふまえて最終的に判断をしていきたいというふうに考えています。引き続き、丁寧かつ誠意をもって対応していきたいと考えています」

父母会の申し入れでは、道の対応について「学校再生の足を引っ張る行為」との指摘があった。これについて問われた知事は、再び「誠意をもって対応していく」との答えを反覆。その「誠意」の具体的な内容を尋ねる問いに対しては、こう返した。

「ご遺族のご意向を伺いながらですね、協議結果をふまえて判断していく、このことが大切だというふうに思っています。しっかり丁寧かつ誠意をもって対応していきたいと考えております」

事実上の無回答。ほぼ無機的に「誠意をもって対応」の文言を繰り返すのみで、血の通った言葉はついに語られなかった。

先の父母会の申し入れは、12月25日午後に行なわれたところだった。当日は関係者4人が道の担当課を訪ね、ハラスメントと自殺との因果関係を認めない当初の方針の撤回を要請、併せて知事が「自身の言葉で」遺族に対応するよう強く求めている。会員の男性(66)はこれまでの道の姿勢を「ご遺族の傷口に塩を塗るような対応。結論を先延ばしにして諦めるのを待っているようにしか見えない」と批判、また代表を務める女性(56)は「ことの重大さを知事にわかって欲しい」と訴えていた。

その申し入れから2日を経た同27日の記者会見では、先述の通り関係者の期待に反して従前と変わり映えしない言葉が飽かず繰り返される結果に。亡くなった学生の母親(47)は「結局、知事の言う『誠意』とは何なのか…。私には誠意は感じられない。いつまでこのやりとりが続くのか、不安しかありません」と話している。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 

 

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