新型コロナウイルスのクラスターが発生した鹿児島県は、知事選の真っ最中。現職を含む7人の候補者が、三密を避けるため集会の規模を縮小するなど工夫をしながら、12日の投開票を目指して奮戦中だ。
有権者と触れ合う機会が減らされた異例の選挙戦だけに、法定ビラや選挙はがきやなどは集票のための貴重な手段。とりわけ、公費負担で全世帯に漏れなく配布される「選挙公報」は、各陣営にとって最も大事にしたいアイテムだろう。
ところが、現職で再選を目指す三反園訓氏(62)の選挙公報に実際とは違う生まれ年が記載されており、公職選挙法が禁じる“虚偽事項の公表”が疑われる状況であることが分かった。
■記述はデタラメ、生まれ年は虚偽
下は三反園氏の選挙公報の記載。まず目についたのは《「農林水産業」を「視点」の発展なくして未来はなし》という文言だ(赤い横線はハンター編集部)。前後の文句まで確認してみたが、ハッキリ言って意味が分からない。推測だが、何らかのミスで「を「視点」」を入れてしまったもので、本当は《「農林水産業」の発展なくして未来はなし》が正解なのだろう。税金を使わせてもらっておきながら、ずいぶんデタラメな公報を作ったものだ。公費利用に対する意識の低さも気になる。
一番の問題は、最後の行の生まれ年。「現 鹿児島県知事」のあとに『昭和三十二年指宿市生まれ』とある。
一方、次の画像は鹿児島県の公式サイトにある三反園知事のプロフィール部分(赤いアンダーラインはハンター編集部)。『1958年、鹿児島県指宿市生まれ』と記されている。
選挙公報にある「昭和三十二年」は西暦1957年、県公式サイトの「1958年」は昭和33年だ。三反園氏の生まれ年は、どちらが本当のなのか分からない。
鹿児島県選挙管理委員会に確認を求めたところ、三反園氏の生まれ年は「昭和33年」で、選挙公報の記載が間違いであることが明らかとなった。
公職選挙法は、(虚偽事項の公表罪)として、職業や経歴などに関し虚偽の事項を公にした者は「2年以下の禁固又は30万円以下の罰金に処する」と定めており、嘘の生まれ年を記載したことが、この規定に抵触する疑いがある。
「ただのミス」で逃げる手もあるが、三反園氏側が昭和33年だけでなく32年生まれの人たちにまで親近感を持たせる目的で意図的に実際とは違う生まれ年を記載していた場合には、虚偽事項の公表罪に該当する可能性が生じる。
重ねて述べるが、選挙公報は税金を使って県内の全世帯に配布される貴重な情報伝達の手段。おろそかに扱うべきものではない。意図的かミスか――三反園氏本人に説明責任があるのは言うまでもない。