裏金事件に続いて旧統一教会問題|注目される盛山文科相の進退

今月6日、朝日新聞が《衆院選公示が2日後に迫るなか、神戸市で盛山氏の国政報告会が開かれた。主催は教団の友好団体「世界平和連合」。世界平和連合側が盛山氏側に持ちかけ、開催が決まったという。参加した教団の信者ら約60人が見つめる先で、教団関係者が盛山氏に推薦状を手渡した》として盛山正仁文科相が2021年10月の衆議院選挙で旧統一教会(現世界平和統一家庭連合)の支援を受けていたことを報じた。盛山氏は、「関係を絶った」として逃げを打ったが……。

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盛山氏は朝日新聞の報道に対して、「選挙支援を依頼した事実はなく、事務所でも確認できません。いずれにしましても、旧統一教会との関係を絶っております」「(朝日新聞の記事に)写真が出ておりますから、そういうところへ行ったのだろうと思います。今回ご指摘があるまで、よく覚えていなかった」などとぼけていたが、7日になって旧統一教会側の政策協定に署名していたことが報じられて追い込まれ、「内容をよく読むことなくサインした」と事実関係を認めた。

文部科学省は昨年10月、東京地裁に旧統一教会に対する「解散命令」を請求した。その文科省のトップとして初入閣を果たした盛山氏と旧統一教会が、ズブズブの関係だったということだ。

「歴代の文科相は、安倍派の独占状態だった。だが、安倍晋三元首相の銃撃事件で旧統一教会の問題が再燃すると、所管の文科省にかかわるのは無理だとなり、別の派閥に譲った。その盛山氏が旧統一教会から推薦状までもらう支援を受けていたとなれば、岸田政権も末期だ」と安倍派の参議院議員は話す。

確かに、安倍派の塩谷立座長、下村博文氏、松野博一前官房長官、萩生田光一前政調会長、馳浩現石川県知事など、歴代文科相には安倍派の議員がずらりとならぶ。旧統一教会が政界に影響を与えるきっかけとなったのは、安倍元首相の祖父、岸信介元首相との強い結びつきだ。安倍元首相も旧統一教会関連団体にビデオメッセージを贈るなど関係が深く、それが銃撃事件の背景にあった。

盛山氏は岸田派所属。初入閣だった。自民党が2年前に実施した「点検」では、《統一教会関連団体の会合への出席「議員本人出席で挨拶有り」》と回答し、旧統一教会と関係があったことを認めていたが、岸田文雄首相は盛山氏を登用。「適材適所で任命した。当該団体と現在は関係を有していない」と説明していた。

「岸田総理は安倍派から文科相を奪ってご満悦だった。だが、盛山さんは比例復活当選で選挙に弱い。点検でも統一教会と関係があることを認めていたので、『危うい』と指摘する声もあった」(岸田派の国会議員)

盛山氏と統一教会との関係は、朝日新聞や共同通信など複数のメディアが追いかけていた。執念深く追いかけ、ものにしたのが朝日新聞だった。ハンターが盛山氏の取材に動いた時、ある兵庫県内の地方議員がこう話していた。
「コロナ前まで、旧統一教会は年に1度兵庫県内で大きなイベントを開催していた。そこには市議や県議だけではなく国会議員も当然のように来て挨拶していた。選挙になれば、地方議員も国会議員も、たいてい応援を受けていた。私も選挙前はミニ集会に呼ばれて支援をお願いしていた。兵庫県では、統一教会の合同結婚式に呼ばれて韓国にタダで行っている議員までいる」

岸田首相も盛山氏と統一教会の関係については「身体検査」で情報があがっていたはず。前出の岸田派議員は「岸田総理の耳にも情報は入っていたはず。さすがに文科相は外して別のポストに起用すべきだった」と嘆く。

盛山氏は私立灘中学校から灘高校、東京大学を経て国土交通省の官僚となった人物だ。妻は衆議院議長だった田村元氏の長女、路子さん。2016年、盛山氏の母校、灘中学・高校の和田孫博校長が教科書の選定を巡って、ある論文集にこんな一文を寄せた。

《ある会合で、自民党の一県会議員から「なぜあの教科書を採用したのか」と詰問された。こちらとしては寝耳に水の抗議でまともに取り合わなかったのだが、年が明けて、本校出身の自民党衆議院議員から電話がかかり、「政府筋からの問い合わせなのだが」と断った上で同様の質問を投げかけてきた》――ここで「本校出身の自民党衆議院議員」として登場したのが盛山氏のことだった。

検定教科書の中から選んだことで、なんら和田氏は問題がないと考えていた。だが「嫌がらせ」とみられる行為が相次いだことで、和田校長は《自民党の県会議員や衆議院議員からの問い合わせが気になる。現自民党政権が日本会議を後ろ盾としているとすれば、そちらを通しての圧力と考えられるからだ》《行政ではなく政治的圧力だと感じざるを得ない》と懸念を示していた。

安倍派では、裏金疑惑で“5人衆”が主要ポストから追放され、同派の副大臣や政務官も外された。「盛山さんは、統一教会との関係をズバリと報じられ、認めざるを得なくかった。岸田総理が自らの派閥から起用した結果なので、辞めざるを得ないでしょう。やめないと安倍派だけ切って岸田派は許すのかと、党内トラブルの火種になりかねない」(前出の安倍派参議院議員)

旧統一教会との「接点あり」と答えている閣僚は盛山氏を含めて4人。岸田首相の言う「適材適所」は、いよいよ怪しくなってきた。

 

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