関係者が明かす自民党近畿ブロック「ダンスショー」の実態|企画した県議は世耕氏の元秘書

「会合で意見交換などがあって懇親会に移って乾杯があった。そこでいきなり女性が登場して、あっけにとられました。ただ、手拍子するしかなかった」と振り返るのは近畿地方の自民党市議。昨年11月18日、自民党和歌山県連で開催された自民党青年局の近畿ブロック会議。衆議院議員の藤原崇自民党青年局長(辞任)、中曽根康隆局長代理(辞任)や地元の石田真敏元総務相、鶴保庸介参議院議員の出席する中で会議は行われた。いま問題になっているのは、ブロック会議後の懇親会だった。

■ボディタッチに口移しチップの狂態

懇親会の開始の挨拶があって、突然、舞台に現れたドレス姿の女性が音楽とライトアップされた照明に合わせて踊り出した。この時は舞台で踊っているだけだった。ほどなくして、再度舞台に登場した女性たち、今度は大幅に肌を露出させた姿だった。

女性らは参加していた議員の膝の上にのったり、口移しでチップをもらったりと乱れ放題。中には、女性にボディタッチする議員もいた。前出の市議がこう振り返る。
「2回目に女性が登場した時は、衣装も水着というかセクシーな下着のような感じで一気に怪しくなった。参加者の中には、喜んで女性におさわりしたり、財布からチップを取り出す人もいた。ダンスショーは式次第にも書かれておらず、いくら場を盛り上げるためといえども、ちょっとどうなのかなと思い見ていた。数人の出席者は『ヤバイぞ』と言いながら会場の外に出て行った。終了後、『やりすぎじゃないのか』『後々、問題になったりしないか』という声があったほどです」

その言葉通り、3月8日に産経新聞が《<独自>自民党青年局近畿ブロック会議後の会合で過激ダンスショー 口移しでチップ渡す姿も 費用は党が支出》と報道。テレビのワイドショーがこぞって取り上げるなど、大炎上となっている。

問題のダンスショーを企画したのは、自民党和歌山県連青年局長の川畑哲哉県議。同氏は“多様性、和歌山とのゆかり、インパクトがあるかなどでダンサーを呼び、コンセプトをもって企画した”などとメディアに釈明しているが、前出の市議は「とてもコンセプトがあるようなダンスショーではなかった」と突き放す。

そこで問題になるのは、費用負担についてだ。青年局ブロック会議の経費は、党本部や地元県連の予算から支出されるという。今回も党本部と和歌山県連が費用を出している。党本部の支出には公費である政党助成金や自民党員が納入した党費が含まれているとみられている。

派閥の裏金事件、柿沢未途被告の公職選挙法違反(買収)、広瀬めぐみ参議院議員の不倫騒動、昨年8月の党女性局による観光旅行としか思えないフランス研修など、自民党のスキャンダルは後を絶たない。

■踊ったのはベリーダンスチームの女性たち

川畑県議と並んで会合の中心にいたのが藤原衆院議員。中曽根氏とともに第2部にも参加し、問題が発覚すると記者会見した。

議員が口移しでチップを渡した場面については、「見ました、不適切あったと思います」「パフォーマンスの途中でどうかなと思ったが、しっかり止めることもできなかった」。“女性の体にさわったのか”と聞かれると「私の記憶ではさわっていない」「さわった認識はない」と否定した。さらに“触っていたら議員辞職するのか”と突っ込まれると「それについては今、私の口からは、今の私の認識は触っていない」としどろもどろになる有様だった。

大炎上のダンスショーの情報、実は昨年12月にハンターの記者にも届いていた。《和歌山県連の懇親会で、裸のような女性がダンスや接客をしていた》との内容だった。当初、情報源は《動画や写真を提供できる》と言っていたが、《反対されて、できなくなった。申し訳ない》という展開に――。ただ、今回、改めて次のように話す。
「場に相応しくない酷い出し物だったので、『問題はないのか』と県連にも申し立てたが相手にされなかった。それどころか“マスコミに出たら騒動になる”と隠蔽を示唆するような話もあった。今回、公になったことでいかに問題ある出し物だったのかはっきりした」
「全体の企画は川畑県議が周囲に相談もなく勝手に決めた。彼の知人がダンサー側にコネクションがあり依頼したそうだ。川畑県議はメディアに『モダンダンスだ』などと言い訳しているが、過激なものであることはわかっていたはず。あの女性たちは普段はベリーダンスのチームで活動している。川畑さんは周囲に『サプライズだ』と自慢げに話していたが……」
「ダンサーへの1,000円札のチップも事前に川畑さんが準備して、何人かに手渡していた。川畑さんは軽い人物なので、面白ければなんでもいいという感じでやったんだろう。和歌山県連の多くの人は『川畑ならやりかねない』と思っている。彼は裏金事件で世間を騒がせている世耕さん(弘成前参院幹事長)の元秘書。周囲が甘い対応をしてきた結果がこれだ」

3月9日、10日の共同通信の世論調査では、岸田政権に対して、「支持する」が20.1%(前月24・5)、「支持しない」が64.4%(前月58・9)、「分からない・無回答」が15.5%(前月16・6)という結果で、支持率は4%以上も下落し20%台を割り込みかねない状況。そんな中で、またもや非常識なスキャンダルが起きたということだ。

ある自民党の大臣経験者は、こう話している。
「広瀬の不倫もそうだが、岸田総理のせいというより議員個人の資質に問題があるケースばかりだ。広瀬への処分はしないということだったが、そんな甘いことは言っていられない。昔、新人議員が『料亭に行きたい』と言っただけで謝罪させられる騒動もあったのだから、総理は甘すぎる。ダンスショーの問題は、開催経費に政党助成金などの公費が含まれていれば、自民党として調査する必要もある。これだけ拡散、炎上しているのだから、早く手を打たないと政権へのダメージは大きくなるばかりだ」

 

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