国税を止める「永田町交渉人」が不可解な取材拒否

国税査察専門安心」というサイトをネット上に公開している「東京永田町税務事務所」。国税当局による刑事告発や重加算税をゼロに――と謳う宣伝文句につられ取材を試みたが、『交渉術。』とやらを駆使するという凄腕の税理士も『永田町交渉人チーム』も頑なな取材拒否。やむなく郵送した質問書への同事務所側の不可解な対応が、疑念を生むことになった。

■封筒も開けずに返送されてきた質問書

東京永田町税務事務所に聞きたかったのは、次の3点だ。「国税当局による刑事告発や重加算税をゼロに」であるとか、着手金66万円+月額報酬66万円で初月合計が132万円という報酬規程など同事務所のホームページにあった記載内容についての、簡単かつ基本的な問いでしかない。

1 「国税査察専門安心」のホームページを拝見いたしました。そこでお尋ねしますが、貴殿や東京永田町税務事務所の業務は、査察を行った国税が「告発」しないように国税側と「交渉」すること、さらには「交渉」によって、査察や査察後の刑事告発を止めることだと解釈致しましたが間違いありませんか?解釈が間違っていれば、ご指摘ください。

2 「国税査察専門安心」に掲載された料金体系は、かなり高額なものだと思料いたしますが、その点についてはどのようにお考えですか?

3 貴殿または東京永田町税務事務所が受任した案件で、報酬をめぐってのトラブルを起こしたことはありませんか?

回答に詰まるような難しい質問ではないはずだが、郵送した質問書に対する東京永田町税務事務所の対応が、記者の疑念を膨らませることになる。なんと、送った封筒を開けることもなく、そのまま返送してきたのだ。

質問内容を確認した上での「ノーコメント」や「取材拒否」ならまだ分かるが、中身も見ずに送り返すというのは珍しい。しかも、代表税理士宛てに送った封筒を返送してきたのは、なぜか「永田町交渉人」だった。(*下の写真参照)

弁護士、司法書士、行政書士と士業の先生方とは様々なやり取りをしてきたが、東京永田町税務事務所の対応は異常でさえある。ひょっとして、何か大きなトラブルでも抱えているのではないか――。そう考えたハンターの記者は、永田町周辺を中心に、聞き込み取材を開始した。

東京永田町税務事務所の所在地は永田町。参議院議員会館の真裏のビルの一室なのだ。必ず国会議員や議員秘書の情報網に引っ掛かると踏んだハンターの記者の狙いは、2か月ほどで的中する。“「永田町交渉人」を名乗り、国税と渡り合う税理士事務所を知らないか?”。他の取材がてら与野党の関係者に聞き回る中、ある議員秘書から貴重な情報をキャッチしたのだ――「九州出身の“麻生”を名乗る人物が、永田町交渉人とかなんとか称して、現役税理士と組んで国税の査察をなかったことにするらしい」――。そういえば、記者の質問書を送り返してきたのは「麻生」という名字の人物だ。情報と合致する。

その情報をもたらした議員秘書の先の関係者を辿るなど取材を続けたところ、ハンターの記者は、東京永田町税務事務所から要求された千万単位のカネを支払い、何の解決にも至らなかったことでトラブルになっているという企業経営者の存在を知る。当初、取材を受けることに難色を示していたその経営者が重い口を開いたのは、連絡をとり始めて1カ月ほど経った頃だった。

(以下、次稿)

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