総選挙不出馬の二階元幹事長、苛立って「ばか野郎」|怒りの矛先は世耕氏へ?

25日、自民党の幹事長として歴代最長となる5年超を務めた実力者、二階俊博氏が記者会見を開き、次回の解散総選挙に出馬しないことを表明した。二階氏が率いてきた二階派も、東京地検特捜部が立件した派閥裏金事件で会計責任者が略式命令処分を受けていた。

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二階氏自身の裏金は3,500万円超。同氏は出馬断念について「(裏金事件の)監督責任者である私自身の責任にあることは当然。この際、自らの政治的責任を明らかにしたい」と説明したが、自民党の閣僚経験者はこう話す。
「二階さんの発言を真に受ける人は、自民党内にはほとんどいないと思う。背景にあるのは、二階VS世耕という和歌山での覇権争いだ。二階氏が先にカードを切って世耕氏を駆逐しようとしている」

そこには長年、和歌山で「ドンの座」を争ってきた世耕弘成前参院幹事長との関係があるというのだ。一連の裏金事件では、安倍派の参院トップとして派閥パーティーのキックバックを中止するか続行するかを判断する立場にあった。また世耕氏は、自らも裏金を1,500万円受領していたことが分かっている。

岸田文雄首相は、世耕氏を含む、安倍派のキックバック続行を決定した幹部が「政治倫理審査会に出席しても、国民の納得が得られるような説明ができず責任を果たせていない」として、次回の選挙で非公認もしくは党員資格停止という処分を出す公算が大。そうなると世耕氏は来年の参議院選挙、もしくは衆議院の解散総選挙となっても、自民党の公認では立候補できないことになる。

昨年春、和歌山1区の補選では自民党の元職候補が、維新の女性候補に惨敗。選対本部長だった世耕氏は赤っ恥をかいた。さらに、本サイトで報じたように「クッキー缶疑惑」や秘書の過激ダンスショーの関与など、スキャンダルまみれで追い詰められてもいた(既報)。

世耕氏に残された道は、新党か無所属、あるいは既存政党からの出馬だ。もう一つ、「政界引退」という選択肢もある。和歌山県の自民党幹部は次のように突き放す。
「家業となっている近畿大学理事長という肩書があるのでカネには困りませんから、プライドの高い世耕さんはそう簡単に引退しない。ごねて自民党の処分を軽くしてもらえなければ、無所属で出るしかない。相当に厳しい」

次の解散総選挙では、和歌山は3から2へと小選挙区が1減へ――。二階氏の地盤は現在の3区と2区が合区になるような区割りとなる。二階氏が出馬しないとなれば、世耕氏が衆議院選挙に打って出るという手もある。しかし、自民党は当然、公認候補を擁立するので世耕氏が出馬しても保守分裂選挙となる。もちろん、和歌山1区の補選で勝った維新は、勢いに乗じて候補者を出すことが確実だ。

「二階先生は世耕を封じ込めた上で、不出馬を決めた。世耕さんは衆議院でも参議院でも公認されない。実質的には、参議院から無所属で出馬するしかないでしょう。問題になっている過激ダンスショーを元秘書が企画して、1,000円札のチップをダンサーの水着に入れたのは現在の秘書だった。これまで参議院選挙では圧勝を続けてきましたが、あまりの不評で、無所属では負ける可能性が出てきた。二階先生にすれば保守分裂を仕掛け、野党が勝ってもいいからと世耕つぶしを仕掛けるかもしれません。それくらい、世耕さんには怒り心頭ですし、自身がこれからも和歌山のドンとして君臨するには、世耕さんを追い落とすしかないと思っているはずです」(前出・和歌山の自民党関係者)

記者会見で二階氏は、選挙不出馬が「85歳という高齢によるものか」と記者に聞かれ、苛立ちを隠そうともせず「おまえもこの年がくるんだ。ばか野郎」と言い放った。その凄みは健在だ。その二階氏の牙城を崩さない限り、世耕氏には未来がない。

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