山口県から産業廃棄物収集運搬業の許可を受けていた業者(以下、A社)が、5年に一度の許可更新を忘れ、許可期限を過ぎた状態で営業していたことが関係者への取材で分かった。無許可で営業すれば、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律 (廃棄物処理法)」違反とみなされ、「5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはこの併科」となる。
さらに運搬を委託する排出事業者には委託先の許可期限を確認する義務があるが、これを怠っていたため、排出元も廃棄物処理法違反(委託基準違反)に問われる可能性がある。廃棄物が自社から離れてしまっても、それで終わりではないのがこの業界。委託基準違反にも、「5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはこの併科」という厳しい罰則がある。
一般的な産業廃棄物の処理過程には、排出事業者、運搬業者、中間処理業者、最終処分業者といくつもの業者が存在する。それぞれの業者が責任をもって、適正な廃棄物処理をすべきなのだが、トラブルが起きた場合には複数の業者が責任を問われる仕組みになっている。
うっかりミスでも法律違反は影響が大きい。問題を起こしたA社が出入りしていた大手化学メーカー「宇部興産」は、取引先に対し、産業廃棄物処理に関するコンプライアンス遵守の徹底を求める文書を通知。再発防止の徹底を促しているという。
(東城洋平)