福岡市民会館・須崎公園一体整備事業の闇|仕様変更に疑惑の「決裁文書」

福岡市が総事業費200億円以上の予算をかけ、市内の中心部に位置する須崎公園と市民会館を一体整備する「福岡市拠点文化施設整備及び須崎公園再整備事業」。事業者選定の過程は極めて不透明で、一般的な工事の仕様書にあたる「要求水準書」の重要な部分が、特定業者の要請であっさり書き変えられていた。

書き変えられたのは駐車場の整備方法で、市側が固執してきた「地下」は、唐突な形で「地上」を可とする記述に――。入札参加予定だった大半の企業グループは対応できず辞退に追い込まれ、いわゆる「一者応札」で業者が決められていた。

計画段階から業者選定まで12年以上。整備手法を検討するため民間のコンサルや設計会社に発注した業務委託は13件で、契約額は計約1億3,000万円に上る。膨大な時間とカネをかけて導き出されたはずの「地下駐車場」が、特定業者によるたった1度の要望で、「地上も可」になった格好だ。その結果の「一者応札」が、疑惑の目で見られるのは当然だろう。

■要求水準変更の最終決裁は「課長」

ところで、要求水準書の書き変えに際しては、それなりの地位にある幹部職員が議論を交わしたはずで、そうでなければ、これほどの大型事業の重要部分を変えるとは思えない。ハンターは、改めて市に対し「要求水準書の記述を『地下中心』から『地下など』に変えた際の決裁文書」を情報公開請求していた。

開示に応じた市が出してきた文書は、たったの3枚。下が決裁書の表と裏で、内容としてはこれだけだ。

長い年月をかけて積み上げられた計画のうち、景観に大きな影響を及ぼす「駐車場」の整備方法が、具体的な理由を記されることもなく、あっさりと変更されていた(下が変更部分を示す文書)。

一番の問題は、前掲の決裁文書にあるとおり最終決裁者が“課長”だったということ。膨大な議論と、1億3,000万円もかけて得た業務委託の成果を、わずか6人の職員が捻じ曲げ、課長の一存で事を決していた。

官民が連携するPFI事業では、民間事業者から幅広くアイデアを聞き、事業に反映することでより効果的な事業実施を可能とする。そのために開催されるのが「官民対話(サウンディング)」で、当該事業においても昨年6月26日、入札参加表明者と市との間で「官民対話」が実施されていた。上掲の決裁文書に「官民対話を実施した結果」とあるが、その際のやり取りの記録はこうなっている。このやり取りを受けて、7月11日に問題の決裁がなされていた。

市民会館と須崎公園を一体的に整備するという一大プロジェクトは、市民からの期待も大きい重要な施策だ。駐車場を地下に建設するという当初の計画は、景観を考えた上でのことだろう。しかし、コストはかかる。多くの業者が入札参加に二の足を踏んだのは、地下駐車場の工事費が全体の利益を失わせるほどのものだったからに他ならない。

市側と業者側の質疑の記録によれば、業者側は少なくとも7回、「地下に駐車場を設けると、コストが大幅に合わないため、地上を認めてほしい」といった主旨の要望を出したが、市側は「原案の通り」とバッサリ切り捨てていた。それが一転して、「地上も可」――。議論したのはわずか6人の市職員で、最終決裁は“課長”だったというわけだ。「地上案」を要望した特定業者が得をする結果となった以上、癒着を疑うのが普通だろう。



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