札幌で2カ月ぶりに路上炊き出し|ホームレスに給付金求める署名活動も

札幌のホームレス支援団体「北海道の労働と福祉を考える会」(労福会、山内太郎代表)が7月25日、同市内の公園で炊き出し・健康相談会を開き、路上生活を続ける人たち約30人が参加した。5月に実施した屋外での相談会に続き、今回も参加者らに健康上の深刻な問題はみつからず、札幌の路上では感染症の拡大が確認されなかった。

2度目の屋外開催となった炊き出しでは、市内の社会福祉法人が提供した手づくり弁当が振る舞われたほか、各地の支援者から寄贈された衣類やマスク、入浴券などが配布され、足を運んだホームレスらを喜ばせた。

路上歴8年という道南出身の男性(66)は「この季節、入浴券の提供はありがたい」と笑顔を見せ「次回は散髪サービスなどがあれば」と、支援の継続に期待していた。

会場では、労福会と共催の形で相談会を企画した北海道民主医療機関連合会(道民医連、小市健一会長)が血圧測定や検温などを実施(右の写真)、ウィルス感染症を含む健康上の相談に対応した。先の男性も検査と医師の問診を受け、「少し血圧が高い程度で、今のところ健康」とホッとした様子。ほかの参加者からも高熱などは確認されず、現時点で感染症の脅威が路上に及んでいる疑いはみられなかった。

労福会では、政府の「特別定額給付金」の受給支援も引き受けており、札幌市の依頼で路上への制度周知にあたっているところ。ホームレスになる前に住んでいた部屋への住民登録が記録に残っていれば、最寄りの自治体に給付金受給を申請できるため、札幌ではすでに申請を済ませた路上生活者が複数いる。

炊き出しに足を運んだ1人(65)は札幌市中央区に住民票があったといい、労福会メンバーの助言で受給申請を済ませたばかり。「使い道は考えていないが、路上を脱するきっかけにはなるかも」と、10万円の給付を心待ちにしている様子だった。申請をめぐっては、関西地方に住民登録が残っていた男性(69)の受給手続き中に長期間の公的年金未受給があきらかになった、などのケースも報告されている。

※ 労福会では現在、首都圏や関西などの支援団体と連名で、住民票がない人への定額給付金支給を国に求める署名活動を展開している(7月末まで)。8月23日には札幌で人数調査の実施を予定しており、地元の参加者を募集中。支援・寄附の問い合わせや参加申し込みなどは、同会サイト参照(公式サイト= https://www.roufuku.org/ )(Facebook= https://www.facebook.com/rofukukai )。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。
北方ジャーナル→こちらから

 

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