【鹿児島県政の闇①】マリコン団体との「災害協定」に重大疑義

鹿児島県が、2016年に港湾土木業者(マリコン)の団体「鹿児島県港湾漁港建設協会」と「災害・事故発生時の海上における応急対策に関する協定」(以下、災害協定)を結んだ際、協会加盟社の名簿を取得していなかったことが分かった。相手の団体の構成員を確認しないまま、災害協定を結んでいたことになる。

さらに、協定締結のため港湾漁港建設協会が提出した災害復旧工事の事例には、非加盟社の仕事を加盟社の仕事であったかのように誤認させる内容のものもあり、協定自体の正当性や意義が問われる状況だ。

県は今年4月から、総合評価方式で発注する公共工事の入札で協会加盟社だけが有利になるよう(シリーズ記事で詳報)ガイドラインを改正しており、災害協定を利用して特定業者に便宜を図った形。関係者の間からは、自民党及び三反園訓前知事周辺とマリコン業界の癒着を疑う声が上がっている。

■「災害協定」― 締結基準も要件もなかった

地震や風水害、事故等が発生した場合、ライフラインをはじめとする様々な社会基盤に被害が生じ、自治体の機能が低下する。そのため各自治体は、応急対策や早期復旧に資する目的で、民間事業者や各種団体と緊急時における対応策を条文化して「協定」を結んでいる。「災害協定」や「防災協定」と呼ばれるもので、鹿児島県は、医療、物資、住宅、公共土木、広報、し尿・汚泥処理など12の分野で、60種類102件の災害協定を締結している。

このうち、2016年2月に県が鹿児島県港湾漁港建設協会と結んだ災害・事故発生時の海上における応急対策に関する協定」では、港湾・漁港施設等において災害・事故が発生した場合の応急対策に係る業務に関する基本事項を規定。対象となる災害、趣旨、業務内容手続きや費用負担などについて定めている。

ハンターは、マリコン団体と県が災害協定を結ぶことになった経緯を確認するため、鹿児島県に対し関連文書の情報公開請求を行っていた。請求内容は、以下の通りである。

鹿児島県が民間事業者等と結んでいる災害に関する協定の運用基準(*協定締結の基準、要件などの文書)。

県が、平成28年に鹿児島県港湾漁港建設協会と結んだ「災害・事故発生時の海上における応急対策に関する協定」に関する全ての文書(*伺いや決裁、協定締結までの経緯が分かる記録文書、鹿児島県港湾漁港建設協会が県に提出した文書等を含む)。

これに対し、まず返ってきたのが①に対する回答。それが下の不開示決定だ(*赤い囲みはハンター編集部)。

驚いたことに、災害協定を締結する際の県としての基準や要件はないのだという。県側は関係する部署ごとに勝手に判断していると説明しており、恣意的な運用がまかり通る鹿児島県政の現状には、呆れるしかない。詳細は本シリーズの記事の中で報じていくが、災害協定が官製談合や便宜供与の道具になっている可能性さえある。

■マリコン団体の名簿は“不存在”

②の請求に対する県港湾空港課の対応は、点数で言うなら30点。こちらの要求した文書は、おそらく半分も開示されていない。例えば、災害などの発生を受けて県が協定に基づき出動要請した際の記録や、その結果を示す工事記録などは一枚もない。最大の問題は、協定締結を願い出た時に鹿児島県港湾漁港建設協会が県に提出した書類の中に、協会員の名簿が存在していなかったことだ。開示された文書の中で、協会側が提出した組織の全容が分かる書類はたったの1枚。それが下の文書だった。

タイトルにある通りまさに「概要」で、会長、副会長の名前と社名が記されている他は「県内業者22者、県外8者、合計30者」とあるだけ。どこの、どのような会社が加盟しているのかまるで分からない。念のため、協会の名簿があるはずだと確認を求めたが、県の担当者の答えは明確で、「ありません」だった。

つまり鹿児島県は、構成メンバーが明らかになっていない団体と「災害協定」を結んだということだ。普通なら、反社勢力との関係の有無程度は調べるはずだが、名簿がなければそれはできまい。それとも、都合の悪い業者が加盟しているから、あえて証拠となるような名簿を残さなのかったか――。その点については、複数の県関係者が「名簿なんて、あっても見せたくないはず」「鹿児島の港湾土木業者と県はズブズブ。名簿を見られて昔の事件を思い出されると困る」などと話す。たしかに、同県のマリコン業界には、重い前科がある。

■県政史に残るマリコン談合事件

2009年11月、公正取引委員会は鹿児島県が発注した港湾関連工事の入札で談合を繰り返していた疑いがあるとしてマリコン各社に立ち入り調査を実施。翌年秋には同県や熊本の海洋土木業者31社に独占禁止法違反(不当な取引制限)で排除措置命令を、27社に総額14億4,054万円に上る課徴金納付命令を出した。談合が確認された期間における県発注工事の契約額合計は約600億円。排除措置命令を受けた31社が、独占的に工事を受注していた。県政史に残る悪質極まりない談合事件だったのである。

当時の記録を読み返してみたが、港湾漁港建設協会の会長、副会長を出している「米盛建設」も「村上建設」も排除措置命令を受け、それぞれが数千万円単位の課徴金支払いを命じられていた。

では、協会の他のメンバーはどういった顔ぶれなのか?談合事件の当事者ばかりではないのか?確認しようにも、県は「名簿がない」というのだから分からない。随分いい加減な話になってきたが、協定締結にあたって協会側が提出した資料には、さらにうさん臭いものが含まれていた。

(つづく)



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