「政治とカネ」で追い詰められる大石賢吾長崎県知事

長崎県の大石賢吾知事に公職選挙法(買収)や政治資金規正法に関する「疑惑」が浮上、県議会の4つの会派が、地方自治法100条に基づいて設置される百条委員会の設置を要望した。

また2022年2月の長崎県知事選で大石知事を支援した日本維新の会は、「推薦の取り消し」を党本部に上申すると表明。大石知事は、「政治とカネ」で窮地に陥っている。

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大石知事には、複数の「政治とカネ」の問題が問われている。2022年2月の知事選期間中、大石知事側には、ごうまなみ県議の自民党支部に九つの医療法人から寄附された286万円が迂回する形で流れていた。その点について、郷原信郎弁護士と上脇博之神戸学院大学教授が、大石知事ら3人を公職選挙法違反(虚偽記入)などの疑いで、また、知事の後援会の政治資金収支報告書に知事本人から後援会に2,000万円を貸し付けたとする記載を虚偽だとして刑事告発した。

長崎県議会は「看過できない」として先月、「全員協議会」を招集。出席した大石知事は、自民党から「迂回献金」と疑われる286万円について聞かれ、「令和4年(2022年)に知った」と述べた。

ところが、今年6月の県議会の最中、大石知事は問題の286万円を「貸借」として利息までも支払ってながら、突然「寄附」と訂正していたことも判明。事実確認から2年もかかった訂正に、さらなる疑念が膨らむ格好となった。

中村泰輔県議が「286万円は最終的に大石知事の後援会に渡っている。迂回献金ではないか」と問うと、知事は「弁護士を通じて、医療法人に確認したところ、自民党支部への寄附で迂回献金にはあたらない」と答弁。中村県議が、「選挙運動費用収支報告書で記載するべきではないか」と突っ込むも、大石知事は「繰り返しになりますが」と質問に正面から向き合わず、議場が騒然となる一幕もあった。

この日、最も大きなどよめきが起こったのは、自民党県連で政調会長という要職も歴任した小林克敏県議が質問した時だった。「大石知事、Kさんという方をご存じですか」と尋ねる小林氏。これまで県議会ではまったく登場しなかった人物だ。「(K氏は)大石知事の監査人」「(K氏は)田中愛国県議の自宅までやってきて、2時間くらい(286万円の)質問をやめろと、圧力をかけてきた。事実上の脅し。田中県議の自宅に来たのがKさんなのです」と質問した。

すると、大石知事は「ご指摘の人物が、田中議員の自宅を訪問してお会いしたのは事実だと認識しております」としてK氏との関係性を認めた上で、「(圧力などの)誤解を与えかねないというご指摘に関しましては、私の配慮が十分でなかった」――田中県議への「口封じ工作」にかかわったととられかねない答弁だった。

小林県議はさらに田中県議の「質問封じ」が、大石知事からK氏に指示したもののではないかと追及。「6月22日、田中愛国県議のあるホテルなどの動向を知らせるメールを、逐一大石知事自身がKさんに送っている」と証拠の存在を示すと、知事は「ご指摘のあった人物から286万円の件に関しては、問題なく、その考えを田中県議に説明すると申し出を受けていた」、「田中県議の質問を止めたいなどとは考えていない。依頼したこともない」などと反論した。

ここで登場したK氏は、本サイト既報で《(大石知事の)アドバイザー役を務めたという沖縄県那覇市の会社経営者K氏という男性》という形で報じている人物。K氏は、すでに大石知事と袂を分かち、知事を政治資金規正法違反の疑いなどで長崎地検に刑事告発しているという。

大石知事の側近としてはK氏と、選挙コンサルタントのO氏が有名だ。すでに、O氏は長崎県警の事情聴取を受けている。「K氏やO氏のような警察沙汰になるような人物に頼って県政運営をしている大石さんには知事の資格がない。大石知事がK氏を使って田中県議に圧力をかけたというのが事実なら、脅迫による口止め工作であり許しがたい。別の刑事事件になる可能性さえある」(長崎県の幹部)

崖っぷちの大石知事だが、同じく苦しい状況なのが、パワハラ・おねだり問題で百条委員会追及を受けている兵庫県の斎藤元彦知事だ。どちらも維新の推薦で当選している。

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