斎藤兵庫県知事問題で注目される自民党県議二人の動向

9日、兵庫県政を揺るがしている県政トップのパワハラやおねだり問題で、日本維新の会と同党県議団は、渦中の斎藤元彦知事に「辞職」を申し入れた。県議会では、12日に維新以外のすべての会派と無所属議員が共同で知事に辞職を申し入れる予定。86人の県議会議員全員が、斎藤氏の退任を要求する形となった。知事が辞職を拒否した場合、不信任案提出が視野に入る状況だが、そこで足並みが揃うかどうかに注目が集まっている。

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維新は、2021年7月の知事選で自民党とともに斎藤知事を全面支援。選挙期間中、吉村洋文知事が何度も応援に入り当選に導いた。その吉村知事からも辞職を促されたというが、肝心の斎藤知事は動じることなく、「百条委員会に対応し、県政を前に進める」と繰り返すばかりで、まったく相手にしなかった。

吉村知事のもとで大阪府の財政課長を務め経験がある斎藤知事と維新との結びつきについて、ある維新の兵庫県議は「結びつきは強い。ただそれは兵庫県の維新ではなくて大阪の維新。吉村知事や松井一郎元代表らとの関係だ。吉村知事が本気で乗り出さないと斎藤知事は辞めないだろう」と話していたが、それも空振りになった形だ。

12日には自民党も斎藤知事に申し入れをする予定だが、斎藤知事の頑なな姿勢は変わらないとみられる。

今月19日からはじまる兵庫県議会の定例会では、立憲民主党系の「ひょうご県民連合」が不信任決議案を出すことを明言。公明党、共産党なども同調する流れとなっており、焦点は自民党と維新の対応になっていた。

兵庫県議会の定数86。現在の構成は、自民党37、維新21、公明13、県民連合9、共産党2、無所属4となっており、不信任決議案の可決には4分の3となる65人の賛成が必要だ。

自民、公明、県民連合、共産に加え無所属も賛成となれば合計で65となり可決される。「うちは同調するつもりだ。しかし、全員が賛成するかどうか微妙なのが正直なところだ」とある自民党県議は打ち明ける。

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注目されているのは、斎藤知事に近いとされる内藤兵衛県議と石川憲幸県議の対応だ。斎藤知事の最側近だった片山安孝前副知事は、6月に百条委員会の設置が審議されている際、「私が責任をとって辞職するので、百条委員会はやめてほしい」と自民党県議団に依頼していたことが分かっており、片山氏自身もそれを認めている。

斎藤知事自身も、9月6日の百条委員会で「内部調査を含めてしっかりやってきました。第三者委員会も設置する。何人かの議員に電話し、『第三者委員会でやらせてもらえれば』と言ったことはある」と発言。百条委回避に動いていたことを認めていた。

前出の自民党県議によれば、「斎藤知事が電話できるとすれば内藤県議と石川県議でしょう。どちらも議長経験者で県議会の重鎮。影響力もあります。県議に対しても上から目線の斎藤知事ですから、その二人以外の1回生議員なんかに頼み事をするわけがありません」

2021年の知事選で自民党は当初、井戸敏三前知事のもとで長く副知事として県政を支えた金沢和夫氏の推薦を決めた。しかし、菅義偉首相(当時)の意向を受けた兵庫9区が地盤の西村康稔元経産相が、斎藤知事を強引に押し込んだという。

「真っ先に賛同したのが内藤県議でした。斎藤知事が就任後、内藤さんの地元によく視察にいっていることでも二人の関係がよくわかる。斎藤知事の首に鈴をつけられるのは内藤さんしかいないと多くの人が思っている。それほど斎藤知事に影響力がある人物だ」(前出の自民党県議)

内藤氏は、斎藤知事とのツーショットをSNS上にアップするなど関係は深いとみられる。一方、石川氏は6月に百条委員会の設置を審議した県議会で、自民党議員としてただ一人「反対票」を投じた人物。そのせいで、党からは「役職停止」の処分を受けた。なぜ石川氏は造反したのか?

2023年春、元国家公安委員長の谷公一衆議院議員が会長を務めていた兵庫県森林組合連合会が兵庫県から借りていた9億円の返済が滞っていることが明らかになった。連合会の副会長を務めていたのが石川氏。連合会は、兵庫県治山林道協会に所有するビルの土地を売却。その売却益など2億7千万円を兵庫県に返済し、残りの6億3千万円については債権放棄するというスキームが特定調停でまとまった。

兵庫県森林組合連合会の「継承」として新たに法人登記されたのは「ひょうご森林林業協同組合連合会」。谷氏と石川氏が会長と副会長が就任していた(現在は辞任)。おまけに、ビルの土地を売却した兵庫県治山林道協会の会長も谷氏。同氏は現在もその職にある。そのあたりのカラクリについて、兵庫県の幹部が声を潜めてこう話す。

「谷と石川は、兵庫県民に6億円を超す巨額の負担をさせた。その二人は会長、副会長時代にそれぞれ報酬を受け取っていました。事件ではないかと県議会でも問題になりましたが、こんな酷い特別調停に同意したのが斎藤知事で、その頃の議長が内藤。ひょうご森林林業協同組合連合会は、今も兵庫県の補助事業を継承しています。石川は、百条委員会に反対した際に『個人として反対』と格好つけてコメントしていましたが、実際は兵庫県から刑事告発などを受けるのが怖くて、斎藤知事へのご機嫌とりで造反したのではないですか」

石川氏のブログには、2021年に斎藤知事を擁立した際、自民党を代表して出馬要請している写真が掲載されている。

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9月6日、小泉進次郎元環境相の総裁選出馬会見で「兵庫県知事による公益通報への対応が問題となっているが、小泉氏は総裁になれば内部通報に対して調査・検証など対応できるのか」との質問が出た。斎藤知事の問題が、国政にまで響き始めている証左だ。

「内藤や石川がもし不信任に同調しない場合、解散総選挙では大きなマイナスになる。早く自民党として斎藤知事を説得し、辞めさせるべきだ。もちろん、斎藤知事を引っ張ってきた西村さんにも責任がある」(兵庫県選出の自民党国会議員)

 

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