兵庫維新、NHK党・立花氏と結託した二人の県議に厳しい処分

亡くなった元西播磨県民局長の内部告発問題で苦境に立たされる兵庫県の斎藤元彦知事。失職後に行われた昨年10月の知事選でNHK党・立花孝志氏との「二馬力選挙」によって再選を果たしたものの、百条委員会で知事を追及していた竹内英明元県議が度を越えた誹謗中傷を受けて自死。そこに、兵庫維新の会所属議員が関与していたことが明確になった。

増山誠県議は、百条委員会で非公開と決めた録音データを立花氏にLINEで送信。岸口実県議はホテルの一室で立花氏と会い、亡くなったのメンバーを誹謗中傷する文書を提供していた。政治家としても、人としても最低の行為だろう。

26日、兵庫維新は岸口氏を除名、増山氏を離党勧告処分にした。

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2月23日、斎藤知事の内部告発を調査する百条委員会の副委員長でもある岸口県議が、立花氏に県議らを誹謗中傷するような文書を手渡す場に同席していたことを記者会見で認め「私がその場に同席しており、私が文書を渡したとしても反論できない」と謝罪した。

昨年11月、岸口県議は別の民間人とともに、神戸市内のホテルで立花氏と面会。1枚のペーパーを手渡した。そこには<黒幕(主犯格)は竹内(県民連合)、藤田・長岡(自民)、丸尾(無所属左派)知事失職が彼らの最終的な狙い>、<元県民局長は過去10年にわたって複数の職員と不倫>などと根拠のない文言が記載されたものだった。

当初、岸口県議は「目的をもって会ったのではない」、「記憶があいまい」などと責任回避するようなコメントを出していた。しかし、立花氏がYouTubeで「岸口県議から情報を受け取った」と暴露。岸口県議は追い詰められてギブアップした。支援者として岸口県議と親しかった人物は「岸口らしい言い訳だ」と突き放す。

本サイトでは、岸口県議が、国の持続化給付金をだまし取った詐欺事件で逮捕され実刑判決を受けたX氏から献金を受け取っていたことを報じていたが(既報)、前出の支援者は「岸口は、昔から自分に責任が及ぶような時は徹底的に逃げる性格です。今年夏の参議院選挙に出馬するつもりだったので、ごまかそうとしたのでしょう」と呆れ顔だ。

 

百条委員会の委員でもあった増山県議は、インターネット放送に出演。昨年10月25日の百条委員会で片山安孝元副知事が証言した際の録音データを、立花氏にLINEで提供していたことを自ら明かした。録音データは、県知事選への影響を避けるため、公開は後日と取り決められていたものだ。増山氏は「百条委員会で選挙後に公開することを決定していた。しかしその前に録音を提供したことはルール違反。謝罪をさせていただきます」と述べ、百条委員会の委員を辞任する意向を示していた。

増山氏は情報漏えいの理由を「もし公開しなければ、情報が握りつぶられると思った」、「岸口県議が録音データでも疑惑をもたれており、本当のことを言わなければと思った」などと釈明したが、「本当のこと」かどうかも分からない内容を県民に知らせること自体が犯罪行為に等しいということが理解できていない。

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ここでさらに深刻なこととなってくるのは、斎藤知事の当選の影にあるとされている立花氏との「二馬力選挙」だ。知事選の際、「私に投票せず、斎藤知事に」と訴えていた立花氏。その立花氏と岸口県議が会ったのは11月1日。増山県議が百条委員会の録音データを立花氏にLINEで送信したのが10月31日。どちらも知事選の投票前だ。

立花氏は、2人から得た情報をSNSで広く拡散。それによって複数の県議がネット上で誹謗中傷されていた。

結果、竹内英明さんは知事選直後に「家族を守るために」と県議を辞職。1月、自ら命を絶った。

「維新は立花氏に真偽不明の、誹謗中傷となるであろう情報を提供することで、自らの手を汚さず拡散させた。それによって斎藤知事への批判をかわそうとしたんだろう。要は維新の県議らが二馬力選挙に加担していたということだ」(竹内元県議の関係者)

2月20日、記者会見した日本維新の会の代表・吉村洋文大阪府知事は「2人のやったことは、ルール違反であってはならないこと」と厳しく指摘。(維新のガバナンスへの)批判は当然のだと思う」と語り、2人の行為だけではなく、維新の会自体にも問題があることを認めている。

百条委員会のメンバーを辞めたくらいで責任をとったことにならないのは明白。別の維新の議員も「議員辞職しろという抗議が私のところにもあるが、とても反論できません」と肩を落とす。

毎度のことながら、維新の「粗製乱造」が招いた混乱である。

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