参議院選挙で歴史的な敗北を喫した自民党。結果的に、参政党の14議席を筆頭に日本保守党が2議席、チームみらいも1議席を獲得するなど新興勢力の台頭が目立った。そうした中、都議選直後の6月中旬に作成された、A4サイズ8枚程度の『調査・分析報告書』というタイトルの資料を入手した。参政党と日本保守党という極右新興勢力への警戒感からか、両党の内側について詳しく書かれている(一部既報)。今回は、日本保守党に対して分析した記述を紹介する。
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日本保守党は昨年10月の衆議院議員で3議席、今回の参院選では2議席を得た。テレビの人気番組に長く出演していた弁護士の北村晴男氏は同党から全国比例で出馬し、最多となる97万票を集めている。さらに、人気作家で党創設者の百田尚樹代表も当選し、躍進を印象付けた。
共同代表を務めているのは、前名古屋市長の河村たかし衆議院議員。今回落選した有本香氏が、実質的な「ナンバー2」となる事務総長の肩書でNHKの日曜討論などに出演している。
有名どころを揃えて順調そうに見える運営ぶりだが、報告書には《党のガバナンス、体制が国政政党とは信じがたいほど支離滅裂》《百田、有本の個人的な趣味で運営されている》などと驚くような内容が記されている。
その具体的な例として―ー、《某省や衆議院事務方が党本部に電話をしても「応答があったことはない」「メールを送信しても、ずっと無視され続ける」》《公設秘書が党の事務作業を担当。正規の党職員が存在するのか調査時点では確認できなかった》とある。
今年4月の総務省発表によると、日本保守党への政党交付金は1億7千万円。問題の報告書には《公称党員数7万人。党の資金は7億円以上が詰まっている模様》と「資金力」について書かれている。
だが一方で、あまりに“お粗末”な実情が記されている――《党の本質》としては、《いわゆるネット政党》《ネット、特にSNSを多用。活動の場の大半がネット》《百田をはじめ、暴言が日常茶飯事》《ネットでは、争いごと、紛争が絶えない。些細な事でも、噛みつき、訴訟に発展している例も見られる》
百田氏は、過去に「子宮発言」など国政政党の代表者とは信じられない「暴言」を連発してきた 。参議院選挙中に限ってみても「民泊、95%が大阪なんですよ。アホでしょこれ。これ維新が悪い。私ども違法民泊、違法ホテル、脱法ホテルとも言える民泊、今から火をつけていこうかな」「大阪歩いとったらね、10人中9人ブスですよ!街宣して、だんだん嫌になってくる」と言いたい放題だった。ベストセラー作家の言葉とは思えない程度の低さだ。
7月11日には、党内で百田氏と対立している河村氏が擁立した候補者が立候補していた名古屋市で演説。「投票所に行くと2枚投票用紙がありますが、1枚目(選挙区)の投票用紙は破って捨ててください」と民主主義を否定しかねない「暴言」を吐いていた。
この件については、地元紙の中日新聞が“愛知県選管によると、実際に投票用紙を投票所で破り捨てた場合、同行為を禁じた公選法に抵触する可能性がある”と報道している。件の報告書は、参議院選挙前から百田氏による「暴言」の危険性を指摘していたことになる。
報告書の記述はこう続く。《政党ではあるが、百田氏と有本氏の個人所有の様相》《保守政党自認も、動画配信などの利益を得る、ビジネスが先行している》《俗にいう「ビジネス保守」》――つまり、カネもうけのために保守を声高に叫んでいると分析しているのだ。
関係者の間で注目されているのが、報告書にある《紛争》についての記述。百田氏と河村氏の対立は危機的状況にあるようで、その象徴的事例を文春オンラインが6月19日に報じていた。《日本保守党に分裂の危機! 百田尚樹・河村たかしの「ペットボトル事件」》という記事だ。4月22日に行われた日本保守党記者会見における河村氏の発言に百田氏が怒り、ペットボトルを投げつけ、危うく命中するところだったというもの。
報告書の作成は文春オンラインの記事よりも前のことで、以下の通り「真相」がより克明に綴られている。
《百田・有本(事務総長)体制が党内を掌握。他の意見を排除する独裁体制。周囲はイエスマンで固められていることが河村の乱の発端》
《衆議院第2議員会館506号、島田洋一衆議院議員(近畿比例)の会議室で百田氏、有本氏、河村氏に加えて、島田氏、竹上裕子衆議院議員(東海比例)が代議士会と称して集合》
《会議室に入るやいなや、会議室のテーブルをはさんで百田氏が河村氏に怒号を浴びせ、乱闘寸前》
《拳を振り上げ「お前、いらんこと言って、こら、お前な、ワシが殴ったら命がないぞ」などと激高》
《百田氏は、手元にあったペットボトルを河村氏に投げつけた。当たりはしなかったが止めたり、いさめる者もなく、場が凍り付いたことなどをデータで確認。会議の所要35分程度》
文春オンラインの報道後、百田氏は自身のYouTubeで「多少言葉がきつかった」「持っていたペットボトルはちょっと、机の上に投げたくらい」と河村氏との対立を認めつつも「大したことはない」と言わんばかり。だが河村氏はSNS上に、ペットボトルを投げつけられたことを明確に認めるを投稿を行っていた。
国会は国権の最高機関であり、議員会館は国会議員の活動拠点となる公的な場だ。保守党の代表者が、報告書にあるような暴力的な行為に及んでいたとすれば看過できない。
参政党同様、日本保守党も「危険」ということだ。















