鹿児島大学「学長選挙」に学内から疑問の声

今年に入って、鹿児島大学の関係者とみられる方々から学内の人事に関する疑問や意見が度々送られて来るようになった。表現は違うものの、昨年行われた学長選挙についての情報提供だ。連絡のとれた何人かに直接取材したところ、学内の評価とはまったく違う不可解な選考結果となっていたことが分かった。

■現学長は学内評価3位だった

鹿児島大学の学長は任期4年。学長候補の選考は、外部の学識経験者や学内の理事・学部長ら16名で組織された「学長選考・監察会議」が行い、文部科学大臣が任命して正式就任となる。前学長だった佐野輝氏の任期が今年3月までだったため、一昨年9月頃から、学長選考・監察会議が次の学長選に向けた動きを始めていた。昨年1月に公表された資料「国立大学法人鹿児島大学学長選考基準」を下に示す。

下は、学長選考・監察会議が求めた「学長のミッション」及び「資質・能力」である。

 学長選考・監察会議は、学内の規定に従って10月10日に5人の学長候補適任者を公示。同月28日には投票による「学内意向調査」が実施された。当然ながら、前掲の「ミッション」及び「資質・能力」を考慮した上での『選挙』だった。文系の学部に所属しているという関係者は、「わかり得る限りの候補者の経歴や人柄、評判などを確認し、自分なりに学長選考基準を満たしていると判断した人に投票した」と話す。別の関係者も「この人なら学長に適任、という方を選んだ」と振り返る。そして下が、学内関係者しか閲覧できない仕組みになっている投票結果である(*黒塗りはハンター編集部)。

最終選考に進むことのできる上位3人の採点結果は、鹿児島大学病院長(当時)の坂本泰二氏が423票、元農学部長の岩井久氏が340票、副学長を務めていた井戸章雄氏が256票。学内では、坂本氏が圧倒的な支持を得ていたことが分かる。

ところが、この学内での評価が最終的な選考結果に反映されることはなかった。12月4日に学長選考・監察会議が選んだのは、学内の投票で3位に沈んだ井戸氏だったのである。投票経過については、鹿児島大学のホームページに公表された「第107回学長選考・監察会議 議事要旨」から抜粋する。

出席委員 16 名による投票が行われ、福元委員と橋口委員の立ち会いによる開票の結果、投票総数 16 票、有効投票数 16 票(過半数9票以上)のうち、過半数を得た者がいなかったため、学長選考規則第5条第3項により、上位得票者2人について再度投票を行うことが了承された。

引き続き、出席委員 16 名による投票が行われ、中村委員と山口委員の立ち会いによる開票の結果、投票総数 16 票、有効投票数 16 票(過半数9票以上)のうち、過半数を得た井戸章雄学長候補適任者を学長候補者とすることが決定した。

「議事要旨」によれば、16名の選考委員による1回目の投票では過半数を得る人物がいなかったため、上位2名で決戦投票となり、結果的に井戸氏が選ばれたことになっている。1回目は接戦になったとみられるが、最終結果から推測すれば、決選投票ではなぜか学内評価1位と2位ではなく、いずれかの人物と3位の井戸氏が争ったことになる。学内関係者が疑問を抱くのは当然だろう。後に公表された『学長候補者の公表について』にある「選考理由」には、こう記されている。

学長選考・監察会議は、次期学長選考にあたり、国立大学法人鹿児島大学学長選考基準を踏まえ、学内意向調査を参考の一つとして、さらに所信表明の聴取及びプレゼンテーション・質疑応答を実施し、それらを総合的に判断した結果、井戸章雄氏を次期学長候補者として決定しました。

同氏は、学長選考基準が掲げる「次期鹿児島大学長のミッション」について明確なビジョンを持つとともに、「求められる資質・能力」を十分に備え、鹿児島大学憲章の下、本学のモットーである「進取の気風あふれる総合大学」の実現に向け、すぐれたリーダーシップを発揮し、教職員の協力を得て今後の鹿児島大学の改革を強力に進めることができる人物であると判断し、学長に最も適任であると認めました。

同じ選考基準に沿った選考であるにもかかわらず、候補者の所信表明やプレゼンによって、学内評価で3位の候補者が、その約1.7倍もの支持を受けた候補者を逆転したというわけだ。しかも、順当なら学内評価1位の候補者と2位の候補者による決選投票になるはずが、3位の井戸氏が次のステージに進んでいる。学内の評価は顧みられていない形だ。

手続き的な瑕疵はなさそうだが、何百人もの学内関係者が参加した「学内意向調査」とはかけ離れた結果であることは確か。「おかしいだろう」「学内の意見はまったくと言っていいほど反映されていない」「納得できない」「何らかの力が働いたんじゃないか」(*いずれもハンターに寄せられた意見)といった声が上がるのも無理はない。

国立大学の学長選考は、それぞれの大学によって方法が違う。学内の意見だけで決める大学もあれば、鹿児島大学と同じような形で学長を選ぶケースもある。ただし、鹿児島のように学内の評価と外部の有識者を入れた選考組織の結果が、ここまで違う例は少ないはずだ。

ハンターは昨年1月、鹿児島大学大学院(消化器内科)の教授選挙で副学長らが結果に異論を唱え、同調したとみられる佐野輝学長(当時)が選任手続きを行わず、選考のやり直しを命じた疑いがあることを報じた(⇒【速報】鹿児島大学医学部教授選で異常事態|教授会の選考結果を覆す動き|学長が再選考指示か?)。当時の副学長こそ、同年暮れに学長に就任した井戸氏である。じつは、今年になって再度行われた鹿児島大学医学部の教授選の結果も、井戸学長によってたなざらし状態になっている可能性がある。

(以下、次稿)

この記事をSNSでシェアする

関連記事

最近の記事一覧

  1.  2021年秋、鹿児島県医師会の男性職員(当時。2022年10月に退職)に性行為を強制された…
  2. イスラム世界は2月中旬からラマダン(断食月)に入った。敬虔なイスラム教徒はこの間、日の出から日没まで…
  3. 2月28日夕、高市早苗首相は石川県を訪問。石川県知事選で2期目を狙う馳浩氏の応援のためにマイクを…
  4.  自民党の圧勝で終わった衆議院選挙では、福岡県内11選挙区のうち福岡9区 を除く10選挙区で自民党が…
  5. 鹿児島県警が、県内の女性から結婚詐欺の被害相談を受けながらも約4年間捜査を行わず、そのせいで…




LINEの友達追加で、簡単に情報提供を行なっていただけるようになります。

ページ上部へ戻る